【ラズィー / 】



[物語]

───1.
魔導の研究をする学者ラズィー。かつて彼が目にした光の花火は一瞬にして闇夜を照らした。光に還る子らの姿。壱は零へと還り、人々に勝利を教えた。それからというもの彼は魔導こそがこの戦争を終わらせる大いなる力になると信じ、研究を始めた。しかし零からの始まりは彼の足を止め、限界を知らしめた。それこそが始まり。尊い命を犠牲にすればいい。なればこそ解は導き出される。ラズィーは奇妙な笑い声を上げた。

───2.
先ずはゴブリンを使ってペトラの輝石を埋め込ませた。適合したゴブリンを調べ、編み出された式の元に娘を使って再適合、失敗。体が負荷に耐え切れなったのか。次は息子を使って実験、これも失敗。次々とあらゆる種族の屍が積み立てられていった。神と人の中間に位置する天族すらも使った。しかし解を得ることができない。ならば次は数多といる神を被検体として使えばいい。これも悲しい戦争を終わらせるため、己にそう言い聞かせて罪を犯す。

───3.
呪いの言葉を吐き続け、最後それは死んだ。しかし成果は得られた。これまで三体の神を犠牲にしてしまったが、彼らの魔導に共通する基礎的な公式が分かった。次はこれを元に人間が使えるように研究した。その生贄もやはり神。心優しきその神はユミルに造られた心優しき者。人を慈しむそれを、次なる被検体にしよう。ラズウィーは奇妙な笑い声を上げた。争いを終わらせるために、ただその一心がラズウィーという人間を繋ぎ止めていた。







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