松野ー…松野ー…マックス…まっくす…


「空介!くうすけだっ!」

放課後の部室でがたんっと勢いよく半田が立ち上がった(テスト前のため部活はない)

「なに半田どしたの」

僕の名前なんて呼んじゃって、と俺と向かい合わせで数学のテスト勉強をしていた松野が顔を上げた


ちなみになぜ俺らが部室でテスト勉強をしているかというと、俺らが青春の負け組だからだ
…つまりは教室に俺ら以外にカップルが残ってたんだよちくしょー!居にくいわ!いちゃいちゃしやがってこのバカッフル!ということで空気に堪えられなくなった俺たち(主に俺)は部室に避難してきたということだ


おっと話がそれた


えっと、あぁ!松野の名前を呼んだ理由か

「みんながマックスとか松野としか呼ばないから名前何だっっけと思ってさ!」

「…ふーん」


そう反応すると松野は机の上に視線を戻した
なんだかおもしろくないって顔してる

(俺もやーろう)

そう思って目の前にある俺の英語のワークに目を落とした

(…うん、さっぱり)

数学ならある程度わかるのになぁ…
なんて思いつつワークとにらめっこする
ちなみに俺の勝率10%未満

「…真一」
「へ?」

いきなり下の名前を呼ばれてドキッとした
別に男に対して変な気があるわけじゃなくていつも呼ばれないからびっくりしただけだ

「僕はちゃんと半田のフルネーム覚えてるよ、中途半田真一君」
「なげーよ。ちげーよ。半田がなんかミドルネームみたいになってんじゃんか」

全く失礼な奴だ
まぁ、わざとだろうけど
いや、わざとじゃなかったら問題だ、悪気のない悪口は一番タチが悪いんだから

「君に名前を忘れられるのは僕はすごく気分が悪いんだ中途半田君」

「そうか、俺はお前に名前を間違えられるのがすごく気分が悪い」


ぐっと松野が前に乗り出してきた
その際に俺の手をしっかり握って
予想だにしなかった行動に少し俺はたじろぐ

「そこで提案なんだが半端君」
「ちげーよ半田だっつの」


「僕の名前を忘れないように僕を君の特別にしてみない?」













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