※ミュージシャン松野×大学生半田パロ




「そうだ真一、コレあげるよ。曲はもう入ってるから」

そう言ってひょいっと渡されたのは
所謂携帯音楽プレイヤー
彼曰く「先輩にもらったんだけど自分のあるし」だそうだ







俺は大学生二回生の過程を終了して、松野は二年制専門生だったため全過程を終了した春

松野は音楽の専門学校を卒業して駆け出しのミュージシャンになった
バンドのボーカルだがギターもドラムもキーボードもベースもなんだってこなす
卒業ライブでは客員数最高を記録した校内じゃ一番の人気バンドだった

今まで俺が通っている大学と松野が通っていた専門学校が近かったこともあってルームシェアしていた俺たちだが 松野のバンドが所属するプロダクションはここからあまり近いとはいえない距離にある
最初はここから通う!とだだをこねていた松野だが バンドメンバーと俺とで必死に説得したら渋々だったが頷いた

そして 今日
ここからバスで三時間ほどのところに松野が引っ越す

大きなキャリーバックをガラゴロ鳴らしてバス停まで歩く松野をみると
ほんとに居なくなるんだなって思った


なんとなく泣きそうに、なった


だって中学からなんだかんだでずっと一緒で、いつも助けてくれていつからか一緒にいることが当たり前になってたんだ
多分一番松野が俺のことを知ってるし俺も多分一番松野のことを知ってる
そんじょそこらの恋人たちよりもお互いを分かり合ってると思う
もしかしたら、相手の親よりも相手を知ってるくらいには

そんな奴が居なくなるだなんて一大事だ
だから成人してようが泣きそうになるくらいいいだろ?


「なーんて顔してんの、真一!」

うつむいてると荷物をバスに積み終えたらしい松野の両手が俺の両頬を捉えた
そのまま軽く内側に押されたからうまくしゃべれない

「まひゅの…」
「あっはは!真一ぶっさいくー!」

そういって今度は両手でお腹を抱えて笑った
忙しい手だ


でも気付いてるか?松野

「お見送りくらい笑っててよねー!」

そういうお前も相当ぶっさいくな顔してるぞ
なんだよその顔、笑ってるつもりか?


「笑ってよ真一、別に会おうと思えばあえる距離だし…」
「そう…だな」

今までは会おうと思って会ったことなかったのにな
思わなくてもあえる距離にいつも居たのにな
ほんとに、遠くなっちまうんだなー


「俺、忘れられたらどうしよ…」
思ったことがそのまま口からでた
途端に松野の黒くては大きい目が更に見開かれた
松野が何か言おうとしたのか、口を開けた瞬間

「○×行き発車10分前をお知らせしまーす、お客様は運転手に券を提示の上指定の席にお着きくださーい」

という元気な声が聞こえた
松野の乗るバスだ
しかし、松野が一向に動かない

「何してんだよ?ほら、バス出るぞ」
「あ、うん。今行く」
「ん、じゃあ――っ!?」

じゃあな、そう言おうとしたら松野に抱きしめられた

「ちょ、あの、松野さん?」
公衆の面前で何を――、そう聞こうと思ったのだが 俺より早く松野が口を開いた

「2年だ。」
「え?」
「2年したら絶対迎えにくるから」
「な――…っ!?」

なんで、そんなまるで恋人どうしみたいな…

でも嬉しい
すごく嬉しい

「だから絶対留年しないでよね」
「ったりまえだろ、中途半端なめんなよ?」「それ、あんま威張れてないよ真一」
くすくすと松野が笑う
ああ、やっと笑ったな、なんて

「ほら、行って来いよ」
「うん…行って来ます!」

俺は松野が乗ってるバスが見えなくなるまでずっとバス停に立ち続けた






「ふぅ…」
帰ってくると当たり前だけれど部屋には俺一人
いつも松野が座ってたソファーに日が当たっててあったかそうだった
俺は吸い寄せられるようにそこに座って
近くのテーブルに置いてあった松野がくれた携帯音楽プレイヤーを手に取った
曲はもう入っているらしいけど、果たして何が入っているのか
イヤホンを耳に入れて再生する

「…!!」
入っていた曲は 全部松野の歌声だった
カバー曲もオリジナル曲もあわせて10曲ぐらい

「いつ撮ったんだよ、こんなの…っ」

松野の歌声はいつもちゃんと芯が通っててでも優しくて、かっこいいんだ

ぽかぽかあったかい春の陽気と
大好きな声で緊張が溶けた心は
眠気に誘われて
俺は彼の声を子守歌にして目を閉じた

その5分後彼から来たメールをみたのは2時間後




From 松野
Sub無題
――――――――――――
ちゃんといい子で待っててね?
大好きだよ







(だから、二年間だけさようなら)





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企画提出作品です
提出ぎりぎり+長くなってすいません

とんでもなくベタな話ですね…
そしてさよなら感が空気…
松半はハッピーエンドだよなぁ…
という固定概念から←
でも楽しかったです!

参加承認ありがとう御座いました(^O^)!

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