「…っく、ぅ…!」

あぁまた…


半田が、泣いてる

声を押し殺して、誰にも気づかれないように



雷門サッカー部現キャプテンの円堂は今FFI…フットボールフロンティアインターナショナルに日本代表のため出場中のため不在
円堂だけじゃなくて豪炎寺、鬼道、風丸、染岡、壁山もそれに参加している

よって今の雷門中にはキャプテンはおろかストライカーも司令塔さえ不在の状態だ
これはチームとしてはものすごく痛手だ
チームを率いていた人物がごっそり抜けてしまった訳だから当たり前と言えば当たり前だけどさ…

それでも大事な仲間が世界で戦ってるんだ
誰も弱音を吐くことなんてしない
円堂たちが帰って来るまでに強くなって驚かせてやろうぜ、なんて意気込んでる
本気でそれを目標にしてるあたり、みんなだいぶ円堂に影響を受けてると思う
…勿論 僕もだけど

そんなわけで今は半田キャプテン(代理)の下強くなるために雷門中で一週間の合宿中だ
みんなで強くなろうぜ!って言いながら練習指示を出してる半田は、なかなかキャプテンが様になってると思うんだよね
円堂ほどじゃないけど




なかなかハードな練習が終わって、今は四日目の夜
僕の隣には半田と栗松
栗松はそりゃもうぐっすり寝てる
栗松だけじゃなくて宍戸も少林も、みんなぐっすりだろう
なんたって午前2時をまわってる
健康的なサッカー少年が普通起きてる時間じゃない
起きてるのは僕と半田ぐらいだろう


「っく…うぅ゛…っ」

合宿が始まってから毎夜半田は泣く
それがどこからくる涙なのか、僕は知らない

声をかけても良いものなのか、分かんないけど
分かんないけど、何もしないのはなんかいやだ



「ひっ…ぅ、っ」

枕に顔を押し付けて枕を握りしめて泣く半田はひどく小さく見えた

中途半端な彼のことだ
誰にも相談しないで思いつめて、必死に隠してるけど隠しきれないんだろう

もぞり、と少し半田側に移動すると 彼の肩がびくっと震えた
力一杯枕を握っている右手をゆっくりと解く

「ねぇ、半田?」
「っ!」
「どうして泣いてるの?」
「あ…まつ、の」

大きな焦げ茶色の目がゆらゆらと揺れている

「ちが、俺…っごめん 起こして、」
「半田」
「あ、ほら はや、く寝なきゃ、明日…っ早いぞ」
「質問に答えて、半田」
「あ…、いや、ちが、怒らないで、なんでもな、」

こんなにボロボロな半田は初めて見た
不意に抱きしめたい衝動にかられた
僕の身体はそれに従う

「半田」
「う…まつの、ごめんまつの…っ」
「大丈夫大丈夫」

僕の腕の中でぎゅう…っと小さくなる彼の頭をぽんぽんと叩いた後撫でてやる

「俺、…っよくわかん、ね、…こわいよ…っ」

自分でもわかんないけど気付いたら泣いてた、そう言いたいんだろう
何が怖いのかも何で怖いのかも分からない
まるで赤ちゃんみたいだ

「大丈夫、大丈夫だよ」

今日はこのまま僕が一緒に寝てあげるからさ

そう言うと ありがとう、といってふにゃりと半田は笑った
涙の跡もそのままに

「お休み、真一」
「ん、お休み…くーすけ」



――――――――――
んー…?
よくわからないはなしに…(^^;)

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