色褪せない手紙



5年間交際を続けたナマエと晴れて結婚が決まり

同棲のため、家の大掃除をしていると立派な木箱が姿を現す

中にはぼく宛ての大量のテガミが詰め込まれていた。

こういう仕事に関わっているだけについ捨てられずこうして溜めこんでいるのである

「へぇ…懐かしいな」

現役を退いてからというもの手元に届くのは上からのお堅いテガミばかりで

箱の中に入っているような、何でもない内容のテガミが新鮮に感じる

中身をひっくり返すと1通だけ差し出し人がぼくになっているものがあった

宛名にはナマエ・ミョウジ様と記してある

「これって……」

「なに?何が出てきたの?」

「うわっ?!ナマエ?!」

台所を掃除していたはずのナマエが突然ひょっこりとぼくの前に現れ首を傾げる

ぼくが驚きのあまり飛び上がると彼女は、そんなに驚くとないじゃない、と苦笑した

「ってその手紙の宛名…私?」

「いや、違うんだ、これは!」

「私宛だし読んでもいいわよね」

ナマエは強引にぼくからそのテガミを引っぺがし早々と封を切って中身を取り出すとボソボソと声に出しながら読み進めてゆく

その光景にぼくは恥ずかしさのあまり赤面した

「うそ…これって…ラルゴから私に宛てたラブレター?」

「…そうだよ」

確かにぼくは10年前、ナマエ宛てに俗にいうラブレターというものを書いたことがあった

しかし現役のBEEであったにも関わらずぼくはそのテガミを届ける術を知らず

彼女に渡せぬままそこの木箱に仕舞い込んだ

それが今頃になって出てきたのだ

そして今、そのテガミは10年越しに彼女の元へと届いた

ナマエは黙り込んだかと思うと「ラルゴ!」とぼくの名を呼び勢いよく抱きついてくる

ぼくは少しよろめきながらもしっかりと彼女を抱きとめた

「嫌だって言っても絶対に一生離してやんないんだから!」

「生憎、ぼくも一生君から離れるつもりはないよ」

ぼくらはお互いに顔を見合わせ微笑みあってから

何度か口付けを交わした



色褪せないテガミ



なんかのこにしに提出させて頂きました!
中の人関係の企画なので、声ネタでギャグにしたかったんですが
まさかの我が家初「高糖館長夢」になってしまいました。

10.9.20



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