#皇子様と皇女様




「じゃあ来てください、王よ。皇女様、あなたも。あなたに見せてあげる。本当は何があったのか。あなたのルフが語る、偽ることのできない真実を…、」

「私の魔法でね。」

シンドバッドが煌帝国滞在中に紅玉姫に淫行をはたらいた疑惑がかけられ、今から真実を解き明かすべく、ヤムライハが魔法を発動した。

「真実の水人形劇団<シャラール・ラケーサ>!」

ついに検証が始まる。ヤムライハによって魔法がかけられた水はシンドバッド、そして紅玉の人形となり、二人の間にあった出来事を再現する。

うようよと動く水人形は半分くらい真実だったが、淫行をはたらいたという事実は嘘であったことが証明された。

「ほら見ろ!!俺は何もやってねーだろ!?」

「「「スミマセン!!」」」

「ほんとだよ!」

「スミマセンッ!スミマセンッ!!」

「マッタク、俺がどれだけ悲しい気持ちになったかわかるのか!」

前科を棚上げし、ぷんぷんと怒る王様。そもそも疑われるようなことを普段している王様が悪いのに。

しかしこれで問題は解決したわけではない。皇女様を気絶させて王様の横に寝かせた犯人が他にいるのだ。その犯人を見つけなければ何の解決にもならないのだ。

ぐすぐすと涙を流す皇女様を宥める部下…夏黄文さんは正直怪しいと思う。やたら王様との結婚にこだわるし、本当に皇女様を心配しているのだろうか。

「スミマセン、全部夏黄文さんがやりました。」

「えっ!?」

「ええっ!?バカかお前ら!!出世したくないのか!?」

「だってなんかもう姫君がかわいそうだし!!俺たち夏黄文さんじゃなくて姫の部下だし…、」

出世のために皇女様を辱めるなんて、とんでもない部下ではないか。王様を陥れた反逆者として取り押さえられそうになる夏黄文さんは剣をとって抵抗する素振りを見せる。しかし、剣は下へと落ちていった。皇子様が手を叩き、剣を落としたらしい。

「こんかいの騒動、我が国の者の不義です。」

皇子様は膝を折り、頭を下げる。皇子様は自国の罪を認め、夏黄文さんの代わりに謝罪をした。その誠意に思わず感心してしまう。

「どうか滞在をお許しください。」

「ああ…許可しよう。」

結局その場は皇子様のおかげで収まった。本当にどうなるかと思ってしまった。

「莉亜。」

『はっはい!』

「煌帝国の方々を王宮へ案内してくれるか。」

『仰せのままに。』

私が案内するのか。無礼のないように接しなければ。私は前に出て白龍皇子様、そして紅玉姫に挨拶をする。

『莉亜と申します。白龍皇子様、紅玉姫様、王宮へとご案内させていただきます。』

「嘘…貴女…、」

『え…?』

まるで幽霊を見たかのような表情をされた。思わず一歩後ずさる。

「ユリっ!!」

『きゃっ、』

これは一体どういうことでしょう。こんな私が煌帝国の皇子様に抱き締められてしまいました。

「ユリお姉様…生きていらっしゃったのですね…!」

「よくぞご無事で…!!」

『えっ、あのっ、えっ…!?』

状況は全く把握出来ないが、一つ言えることは、この人達は人間違いをしているということ。

『落ち着いてくださいませ皇子様皇女様。私はお二人に会ったのは初めてでございます。それに私の名はユリではありません。』

「そんなはずは…!こんなにも瓜二つなのに…、」

「記憶を失っているのですかお姉様…!」

「落ち着きなさい二人共、彼女は莉亜。シンドリアの人間だ。誰かと似ていることはよくあることだ。」

自然に白龍皇子様から私を引き剥がす王様。そっと私の肩を持ち、私のことを説明した。シンドリアの人間と強調されたが、今は流しておこう。

『ご期待に沿えず申し訳ありません。白龍皇子様、紅玉姫様、王宮へとご案内致します。』

「は、はい…、」

「ええ……、」

納得いかないという表情をするお二人をとにかく王宮へとご案内した。私に似ている人物と言うのは、何か私の過去に関係することなのだろうか。



((皇子様と皇女様))



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