#天才魔導士
世界中に衝撃が走った。
最高峰の魔導士育成機関であるマグノシュタット学院をわずか一年で卒業してしまった少女がいると。
天才魔導士ヤムライハにも劣らない力を持つ少女の名はーーー、
莉亜。
「アラジン君!この短期間でずいぶん魔法を覚えたわね!凄いわ!」
「へへ…!ヤムさんのおかげだよ!」
ヤムライハ、そしてアラジンは魔法の修行に勤しんでいた。素質があるアラジンはすごいスピードで魔法を覚えていく。
「あ、リアさんだ。おーい、リアさーん!」
『あっ、アラジン君!』
アラジンは少し距離が離れた場所に歩いていた莉亜を見つけ、彼女の名前を叫んだ。アラジンに気付いた莉亜はアラジンとヤムライハが修行をしている場へと走り寄る。
『魔法の修行をしているの?』
「そうだよ。前よりもたくさん魔法を覚えたんだ。」
「アラジン君も莉亜と同じくらいの早さで魔法を覚えていくの。二人とも優秀な弟子だわ。」
嬉しそうに笑うヤムさんは私とアラジン君の頭を撫でる。
「そういえば莉亜は旅に出ている間は魔法の修行はしていたの?」
『はい、一年間マグノシュタット学院に通っていました。』
「そう…………ってマグノシュタット!?貴女マグノシュタットに通っていたの!?」
『はい、魔法の勉強をするのはマグノシュタットが一番だと思ったんです。』
マグノシュタット学院では本当に苦しい思いをした。自分がどれだけ無知だったのか思い知らされたのだ。私が知らないことがたくさんあって、今までで一番勉強をしたかもしれない。
「莉亜!マグノシュタットで習得した魔法を見せてくれないかしら!」
『あっ、はい!私もヤムさんに成長したところを見せたいです!アラジン君修行の邪魔しちゃってごめんね。』
「ううん、大丈夫だよリアさん。誰かの魔法を見ることも勉強になるからね。」
私はヤムさんとアラジン君に少し離れててもらい、杖を構えた。
「焔炎撃覇<ハルハール・ラトラーゼ>!」
莉亜が杖を一振りすれば、そこには一本の業火の柱がはるか空の彼方まで伸びていく。その勢いはヤムライハの想像した以上の力だった。
魔法の勢いでアラジンとヤムライハは吹き飛ばされそうになったが、何とか持ちこたえた。
「莉亜っ…貴女まさか…、」
「どうしたんだいヤムさんっ…、」
「少し前にね、噂になったの。マグノシュタット学院をわずか一年で卒業してしまった天才魔導士がいるって…、」
「それって…、」
「きっと莉亜のことだわ!!」
マグノシュタットを一年で卒業出来るなんてあり得ない。しかしそれを成し得たのは誰でもない莉亜だった。
『どうでしょうか……?』
「凄いわ!貴女はやっぱり最高の魔導士になるって信じてたの!」
「リアさん凄いや!僕も早くリアさんやヤムさんみたいな魔導士になりたいな!」
『アラジン君なら絶対大丈夫だよ。』
「ええ、一緒に頑張りましょう。」
「うんっ!!」
「マグノシュタットを一年で卒業したのは莉亜だったのか。」
「やはり彼女には普通ではない力を持っています。」
「だからこそ誰にも渡すわけにはいかない。特に煌帝国には。」
「ええ。」
((天才魔導士))