*イメージ的にはそうですね…部活帰りに土手に座っておしゃべりしてるかんじですね…☆
(※描写忘れテヘペロー)
*幸村さんちょっとヘタレっぽい




「…ね、ぼうや」
「なに?」
「ぼうやは、来世ではどんな自分で居たい?」
「…………………は?」





25コ目の染色体。











「いきなりなんなの、意味わかんないんだけど…」

自分の恋人は時折こんな風によくわからない質問を投げ掛けてくる。
決まってそれはテレビ番組や小説、又は彼の大好きな詩集か何かに感化された時、それか、理由は様々だがとにかく何かどうしようもなく心細い時、だ。
さて、今日はどちらなのだろうか。
今までの経験上で言えば3:7で後者が多い。
だがそれは彼の今までを知っている者なら納得もするであろうし、なんら不思議な話ではない。


「…昨日、テレビで見たんだけど」

今回は珍しく前者だったようだ。
彼、幸村さんが下を向いたまま穏やかな声で答える。


「うん」
「前世の記憶を持って生まれてくる人がいる、ってやつ」
「あー…たまに聞くよね、そういう人」
「そう、で、それからずっといろいろ考えてたんだけど、ぼうやは何か理想があったりするのかなって」
「…理想?」

いまいち話が掴めず眉を顰め首を傾げる。
すると、こちらを見ずとも俺が頭にクエスチョンマークを浮かべたのが分かったのか、すかさず淡々と説明してくれた。

「理想を現世で強く願い続ければ、来世で叶うこともあるらしいよ」
「へえ…そうなんだ……面白いね、」
「……うん、だからそれで、ぼうやは何かあったりする?理想、」

説明し終わった幸村さんは質問と共に視線を足元から俺の顔へと移した。
辺りが暗くてよく見えないが、俺の大好きな幸村さんの綺麗な瞳には薄い水膜が張っているようだった。
俺はそこで漸く幸村さんのこの問いは、ただのなんでもない会話の一環ではなく、彼から俺に対しての真剣な質問なのだということを理解した。
きっかけは前者であったにしろ、彼の質問は後者なのである。

…しかし、唐突にそんな話をされ意見を求められても、ちゃんとした答えが返せる程俺は優秀な頭をしていないわけで。

「……特に、ない…」

としか返せなかった。
すると幸村さんはまた足下に視線を移し足の組み方を代え、所謂体育座りの形をとった。

「そう、」

幸村さんの小さな返答が聞こえた。
そのか細い声に俺の胸は罪悪感でいっぱいになった。
だけど、幸村さんのこの質問は所謂無茶振りという類いのそれだと思う。

(誰だっていきなりそんな事聞かれても答えらんないって……あ、)

「じゃあさ、幸村さんはなんかあるの?」
「……え?」
「人に聞くくらいだもん。あるんじゃないの?理想、」


さっき、いろいろ考えていたとも言っていたし、何より人に聞いてくるくらいだ。何かしら自分の理想はもう掴めているだろう。
俺はそう判断した。
そして少し間が開いた後、ゆっくりと幸村さんは語り始めた。


「俺はね、ぼうや」
「うん」
「来世は君と一つになりたい」
「………へ?」
「俺は、越前くん、君の事を来世でもそのまた来世でもずっと、未来永劫好きになり続ける自信があるんだ」
「…いっ、いきなりなんなの…!」


俺は予想だにしなかった幸村さんのいきなりの告白に頬を染めたが、幸村さんはそんな俺におかまい無しにそのまま語り続ける。


「現世の越前くんは俺の隣に居てくれている、でも、来世の越前くんは俺じゃなくて他の誰かを選ぶかもしれない」
「生まれ変わってまた巡り会って、…俺は越前くんのことがずっと好きだけど越前くんは俺以外を好きになるかもしれない」
「そう、考えただけでもう胸が張り裂けそうなくらい痛いんだ……だから来世は君と一つになりたい」
「そうすれば俺はこんな汚い感情を君にぶつけなくて済むし、嫉妬で気が狂いそうになることもない、ずっとずっといつでもどこでも一緒に居られるし、何より、どちらかが先に死ぬこともない」
「そう考えただけで、凄く幸せな気持ちになれたんだ」

「だから、来世は君と一つになりたい」


幸村さんはそう言い切るとまた黙り始めてしまった。
俺は幸村さんに対しての自分の考えが纏められずやはり黙ったまま、空気を求める金魚みたいに口をパクパクとする事しか出来ず言葉が発せられない。

二人の間に沈黙が流れた。
が、それはすぐ、幸村さんによって破られた。


「ごめんね、越前くん。もう辺りも暗くなってきたし時間も遅い、帰ろうか」

幸村さんがすくっと立ち上がり土を払い俺の方を向いた。
幸村さんはまだ立ち上がらない俺に手を差し伸べてくれたが、俺はその手を取らず一人で立ち上がってから、彼の両手をソっと掴んだ。

「幸村さん、」
「…ほら、帰ろう、ぼうや」
「幸村さん、俺はアンタと一つになりたくない」

幸村さんの目が見開かれた。
が、それはすぐいつもの穏やかな表情に戻り、彼はそう、と小さく呟いた。

「ねえ、待って、勘違いしないで。ちゃんと俺の話聞いてよ」
「いや、大丈夫。ぼうやの気持ちはよ「聞いてってば!」

先ほどの言い方をしくじったのだろう。
幸村さんはさっきからずっと俺と目を合わそうとしてくれない。
これは完璧に悪い方向へと勘違いをしている。
正直に言ったら弁解なんて面倒だし彼がもういいって言うなら良いのかもしれない。
けど、俺の言い分も聞いてもらわないと、このまま帰るなんて無理だ。
俺だって彼の事が、すきなんだから。

「…ね、俺の話、聞いてよ」
「………うん、」
「…俺は、確かにアンタみたいに未来永劫の愛が誓える自信はない。だって来世なんて今の俺には全く分からない世界だから」
「うん」
「でも、今の俺は、来世でもアンタとまた一緒に居たいと思ってる。一緒にテニスしたり一緒にご飯食べたり一緒にどっか行ったり、ずっと、一緒に、側に居たい、って今の俺は思ってる、来世でもまた、アンタと、幸村さんと一緒に居たいって、思ってる」
「、」
「だからその…幸村さんはさ、ずっと、俺の事…好きになってくれるんでしょ?」
「う、ん」
「…だったら、ずっとアンタが俺を惚れさせてよ」
「…え、」
「ずっとずっと幸村さんが俺を好きになって、ずっとずっと、俺が幸村さんに惚れちゃえばいいんでしょ?そうすれば、アンタの努力次第で俺達はずっとずっと一緒の予定だけど?」

…と、先ほどの彼に負けず劣らずの早さで一気に俺の意見を言ってみた。
冷静になってみると、凄く…恥ずかしい。
幸村さんもぽかんと口を開けたまま、所謂間抜け面でこちらを見つめ立ち尽している。

「な、なんだよ…だって、そうじゃん…」

沈黙に耐えられなかった俺がもごもごと視線を彷徨わせながら言葉を発したら、漸く意識が戻ってきたのか、たっぷりの沈黙の後、幸村さんは俺と目を合わせ、ニコッと笑った。


「……うん、そうだね、ぼうや」
「…」
「俺がずっとずっとぼうやを好きになって、ずっとずっとぼうやが俺だけを好きで居てくれるように努力すればいいだけの話だね」
「……うん…」


どうやら俺の話で納得がいったらしい。
漸くいつも通りの、俺の好きな、幸村さんの表情になった。



「じゃあ、帰ろうか、リョーマ」
「!……………うん、」




次の世の僕らはどうしよう?



(そうだよね、俺としたことがうっかりしてたよ。一つになんてなったらセックスは愚かキスすら出来ない)

(な、に言ってんの!ばか!)

(あはは、ごめんごめん。冗談だよ)

(………)

(ごめんねって、越前くん)

(…リョーマ、)

(うん?)

(…リョーマって呼んでよ、これからも、ずっとずっと)

(…うん、………ね、リョーマ)

(…なに、)

(好きだよ)






*****

実はこれ昔他ジャンルで書いた話のリサイクル?なんです。
これ元ネタになってる歌があるんですが、それ聞いてたらこのネタをどうしても幸リョにしたくなってしまって…!
なので試しに所々書き直ししてみたら、なんか他ジャンルの時に書いてたやつより凄いシックリ来てしまったので…こうしてあげる事にしました。

なので、万が一億が一これを読んで既視感を覚えた方がいらっしゃったら、すいません!パクリではないです作者同じです!
本当ややこしくてすいません!


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