「あーすみません。」

「別に。」


茶髪のきのこヘアーが靡くのを見つめながらその背中に着いていく。この衝撃的な髪型の彼はやっぱり氷帝のテニス部の人だった。俺の頭をフル回転して、氷帝に連れてって欲しいとどうにか伝えると、器用に片眉を上げて(こいつすげぇ)、ちょっと考えてから、いいですよと頷いた。それにしてはすげぇめんどそうな顔してたけど。まぁ、俺はそんなこと気にせず着いていくけどな!!KY上等!!


「ねーねー、氷帝のテニス部ってつよい?」

「は?」

「いや、友達が戦うからさ」


それで強かったら、丸井負けるの決定だし!丸井がどんだけ強いか知んないけど、最近デブったとか言ってたからあいつ無理だろあはははは!真実はいつも1つなのだ!あー!早くCD買いたい!!


「…強いですよ、うちのテニス部は」

「おっ、まじでか!!」

「でも、あんたの所も充分強い。」

「うぇ?」

「友達が戦うっつーことは、あんた立海?」

「あ、うん、そうだけど、」


少し早足になったきのこヘアーくんを頑張って追いかける。え?どうしたの?なんか怒ってる風?俺が立海だから?内心ちょっと焦りながら、後ろを振り向かない彼の後頭部を見つめる。そして、急に立ち止まった。それに気づくのが遅く、そのまま彼の背中にぶつかってしまった。ちょ、急に立ち止まんなよ!なんか鼻低くなった気がする。俺は手で鼻を押さえながら、上を見上げると、どこか冷めた視線のきのこくんと目があった。


「ここが氷帝です。じゃあ」

「え、ちょっと、まっ」


俺の制止には聞く耳持たず、背を向けて足早に行ってしまった。おいおい、ここからが大事なんだよ…テニスコートどこだよ…。目の前には、どでかい校舎。うわぁ金使ってんなーって感じ。どうしよう、と1人佇んでいると、どこからか女の子達の叫び声が聞こえてきた。なんだここにはお化け屋敷でもあるのか?







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111216.