「んで?相談ってどーしたの?」

「うん…」


ちゅーとパックのいちご牛乳を吸う真冬の横顔は何だか浮かない。俺は奢ってもらった缶コーヒーを煽った。あーこれくそ甘ぇ。やっぱ微糖買ってもらえば良かったわ。口内に残る甘い味に眉を顰めながら、かしゃんと音を立てながら屋上のフェンスに体重を預けた。
金曜の放課後、いきなり俺のクラスにやって来た真冬は相談があると真剣な顔で言ってきた。俺は女の子と約束も無かったし、二つ返事でOKした。それから無言の真冬の後に着いていけば屋上。真面目なこいつには似合わない場所だった。


「言いにくい事なん」

「言いにくいってか…」

「じゃあどうしたんだよー」

「…あのさ、今週の日曜テニス部試合でしょ?」

「あーらしいな」


何でいきなりテニス部の話なんてするんだ?と首を傾げつつ、小さく頷く。また幸村関連か。


「そん時にさ、相手校のマネやってくれないかって頼まれたんだよね」

「…は?」

「は?って感じでしょ!?でも幸村君からのお願いらしいし…僕どうしようかと思って」

「相手校のマネージャーねぇ」


なんで相手校なんだろう。つーかマネなら夏緒がいんじゃん。と思っていると、夏緒は立海の方やるんだって、という答え。なるほどね。しかもそのお願いは、真冬が憧れて止まない幸村クンのお願いだと言うし。
つーか、それ以前に、


「なんでお前そんな事で迷ってんの?」

「…はぁ!?」

「別にやりゃあいいじゃん」

「馬鹿なの春太。僕立海なんだよ?」

「真冬が試合に出る訳じゃねーんだろ。」

「そうだけど…僕は立海のテニス部の一員な訳で…」

「別によくね。ただ相手校のタオルやらジュースやら準備するだけだろ?そこの仲間になる訳じゃねーんだし」

「そう…かな…」


真冬は変に真面目だからなー。こういう事が多々ある。変な所で迷って、俺に愚痴ったり相談してくる。


「真冬の好きなようにしなよ。」

「…うん。ありがと春太」


まだ何だか浮かない顔をしている真冬を横目に日曜日は確かあの子とデートだったなぁと不謹慎に考えていた。
そのバチが当たったのかな、俺の馬鹿。




---
春太がなんか真面目(笑)
真冬もなんかおとなしい(笑)

0912