「ルッチ、ルッチ、ルッチッチー」
「てめぇ、ぶっ殺すぞ」
「あれ、起きてたの?」


ベッドに寝ていたルッチが上体を起こし、こちらを睨んでいた。そんなに睨まなくてもいいじゃーん。俺は生けていた花瓶から離れると、ベッドの脇のイスに座る。
良かった。もう死んじゃったかと思った。ルッチににっこりと笑いかけると、更に眼光が鋭くなった。こわーいルッチさーん。


「なんでここに居る?」
「ルッチが心配で」
「早く帰れ」


せっかく来たのにもう帰れってのー?頬を膨らまし、ジトリとルッチを見つめると目を逸らされハットリを撫でる。
ルッチが帰れと言うのも分かる。でも、きっとこれで会うのも最後だから。お別れくらい言わせてくれたっていいだろう?


「ルッチ達は此処に住むの?」
「さぁな。」
「そっか。でも、まぁ、もう会えなくなるね。」


ハットリを撫でていた手が止まる。俺は目を伏せた。ルッチの包帯が巻かれた手が目に入る。
血まみれになったルッチを見た時、血の気が引いていくのが分かった。麦わらと戦ってるのは知っていた。でも、負けるだなんて思いもしなかったから。ブルーノさんに担がれて、空間を移動していく彼らの後を思わず追いかけてしまった。最後に、1回だけ元気なルッチを見てから、


「ルッチが目を覚ましたら、ウォーターセブンに帰るって約束だったし」
「…何故、ついて来た?」
「ルッチが心配だったからに、決まってるじゃん」


そっと、包帯が巻かれた手の上に自分の手を重ねる。覗き込むように前かがみになると、今度は目を逸らさないでいてくれた。帽子をかぶってないルッチってなんか変な感じだなー。
裏切られた今でも、あなたのその強い眼差しは変わらないまま。好きだな。俺の大事な人を傷付けたのも、俺達を裏切ったのも許せない。それは一生、許してはならない事だ。でも、嫌いにはなれないよ。許してはいないけど、嫌いにはなれない。


「ルッチ、好きだよ」


貴方がくれたものは、何も変わらずに俺の胸の中に残っている。目を見開き、信じられないような顔をするルッチに微笑む。


「なんちゃって」


手の中にある温もりから離れる。びっくりした?なんて問う俺にあなたは怒るだろうか。この想いも思い出と一緒に心の奥に放り込むから。




どうか瞳を閉じないでいて
(最後の最後まで俺の姿を刻み込んで)



101203.

ルッチむずかし(´・ω・`)
なんだこの駄作orz






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