「大佐、俺を踏んで下さい。」
「…気持ち悪いですねぇ」
「ほめ言葉はやめて下さい。」
「…。」


頬を染める俺を冷たい目で見る大佐。そんな目で見つめられると興奮しちゃうんでやめて下さい!大佐は俺から視線を外し、ため息を1つ吐くと業務に戻っていった。放置プレイですか、放置プレイなんですね!大佐!


「放置プレイなんて…お好きですね大佐」
「いいから黙って仕事続けて下さい。」
「冷たい!でも好きっ!」
「ガムテープで口と鼻塞いであげましょうか?」
「た、大佐が望むなら…」


そんな過激だったのが好きだったなんて意外だけど、俺はばっちこいですよ!ドキドキしながらガムテープを渡そうとすると、大佐の笑顔が一層引きつり、持っていたペンがバキッと折れた。あ、やばい。


「ルイト、今の状況分かってるんですか?」
「…はい。」
「あの馬鹿皇帝のおかげで、こっちは一睡もしないで仕事してるんですよ?」
「…ふぁい」
「馬鹿な事言ってないで、仕事して下さいね?」
「…すみません」
「分かればいいんですよ」


うっすら隈の出来た美しい笑顔(目は笑ってない)に迫られたらジェイド・カーティス大佐信教者の俺が断れるはずがない。それに大佐の負担にはなりたくないし。ふざける時はふざけるけど、真面目な時は真面目なことに定評のあるルイトくんなのだ。それで、こうして大佐の隣で仕事させてもらえているのだから。またあのセクハラ変態皇帝の世話係には戻りたくない!
俺は大佐に見つめられつつ(睨まれつつ)、いそいそと書類が山積みになっている自分の机に戻った。あー、あのくそ馬鹿皇帝が世話係の女の人に未遂だったからとはいえ手出すからこんな事に…


「あの節操なしめ…」
「仮にも自分の国の長なんですから、口に出さない方がいいと思いますよ」
「べ、別に陛下の事だなんて言ってないですよー」
「じゃあ、自分のことですか?」
「はい?」


書類に書き込んでいたペンの手を止め、大佐の方へ顔を向ける。大佐はいたっていつものように澄ました顔で、こっちを見ることもなく書類に判を押していっている。おいおい、カーティスさん、今聞き捨てなら無い台詞を聞きましたよ?この純粋天使な俺が節操なしだって!?確かに、女の子とはもにょもにょした事あるけど、まだ後ろは健全ですよ!あなたの為に!


「俺は処女ですよ!!」
「…そんな事誰も聞いてませんよ…」
「大佐専用で「ルイト、これもお願いします。」ええ!?こんなに!?」


どさりと置かれた書類は余裕で徹夜しないと間に合わなさそうな代物だった。それにまだ自分の分も終わってないのに!非難の意も込めて大佐を見上げると、楽しそうな笑顔を浮かべていた。この鬼畜眼鏡!でも、そういう所も大好きなんです。


「うー、この仕事終わったら大佐がデートしてくれるっていうなら頑張れる」
「いいですよ。」
「ですよねー無理ですよ…ってマジですか!?」
「えぇ」


にっこりと笑う大佐はいつの間に入れたのか、コーヒーを片手に俺の机の前まで来ると、身を乗り出し、俺の耳元で囁いた。


「夜まで、付き合ってくれますよね?ルイト、?」


もちろんです!と何回も頷く俺の顔はきっと真っ赤だ。嗚呼、なんてずるい人!




翻弄してくれる人
(貴方に振り回されて生きていきたい)



110924.
私が書くジェイドいつもツンデレや…

Title by 魔女さん



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