出来るだけ、呼吸をしないことにした。
酸素は受け付けず、二酸化酸素も出さない。
くるしいけど、息をしたくなかった。
酸欠で、頭がくらくらする。
視界がぐにゃりと歪む。
ああ、俺も死ねるかなぁ。


「なにしてんだよぃ!!?」


いきなり肩を掴まれ、驚いて息を吸ってしまった。
ああ、死ねなかった。なんで俺の邪魔するんだよ。
ごほごほと咳込みながら、まだ俺の方を掴んでいる奴を睨む。

何するんだよ、マルコ。


「死ぬつもりか!?」


そうだよ。
息をしないんだ。
息を止めれば死ねるんだ。
酸素を吸わず、二酸化炭素を吐かなければいいんだ。
とっても簡単でしょう?


「ふざけんな!」


次は頬を殴られた。
その衝撃で、ぐらりと身体が傾いた。
あーあ、倒れる。
しかし、衝撃が来る前にマルコに受け止められ、そのまま抱かれる。
殴ったり、抱きしめたり、忙しい人だなぁ。


「…っお前まで逝ったら、俺は、どうすればいい?」


マルコ。
それじゃあいっしょにしのうか。

耳元で、馬鹿野郎と怒鳴られた。
うるさいうるさい。
鼓膜が破れちゃうじゃないか。
それに俺は馬鹿じゃないよ。


「親父と、エースがそんなことして喜ぶと思ってんのかよぃ!?」


思考停止、停止停止停止
××と、×××がそんなことして喜ぶかって?
知らないよ、真っ白だ。
頭の中が真っ白なんだマルコ。
何にも考えられないんだ。
とりあえず死にたいんだ。
この世は俺にはもう鮮やか過ぎて、こわいんだ。

もう、俺の前に立つ、あの人たちがいないんだ。
俺を世界から、守ってくれる人、いないんだ。


「おれもいっしょにいきたかった。」


なんで、置いていったの。

俺を抱きしめる腕の力が強まった気がした。

離してよ。
俺を、ここから、連れ出して。




喪失した道標
(右も左も、何も分からなくなってしまったよ)



101127.
偉大なる親父と大好きな兄貴を悼む。

七瀬


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