What do you mean?
「ねえ、どういうつもり?」
つり目がちなブルーエメラルドの大きな瞳が、至近距離で胡乱げに細められている。もう それだけで迫力がある。
「…何がだね?」
「シラを切るつもりなのね? そう…、他の女のにおいなんてさせないで」
他の女のにおい、でセブルスにはピンときているのだが敢えて答えは言わない。離れようと セブルスの胸の中で手を突っ張ろうとしているのが愛しくて、腰に手を回してつかまえてしまった。
「もう!」
「ディアナ、今日はなんの日だ?」
「わたしのバースデーでしょう?忘れたとは言わせないわ、予定をあけてくれたから 楽しみにしていたのに…」
「覚えているさ。さて、先日私は君から 君の好みの薔薇を聞き出しましたな?」
同じ匂いではないかね?
身を屈めて その耳に囁いてやると必死の抵抗はピタリと止まった。おずおずと 照れたような困惑したような顔をして見上げてくる。
しかし恥ずかしすぎて言葉はまだ出てこないようだ。なかなか見られない表情に、セブルスは自然と口角があがっていくのを感じていた。
「…! もう、意地悪ね!」
「くく、」
ローブの中から小袋を取り出す。その中にはセブルスが手ずから作った香水が入っている。魔法薬学に精通するセブルスにとって その気になれば造作もないことだ。ハッピーバースデー とディアナの手の中におとす。
「それで、どういうつもりだね?」
羞恥のために耳まで赤くしたディアナが 観念して セブルスの胸に頭を預けるのだった。