「良いのかな、俺……みんなと、会っても……」
「どうして?」
「だって俺……途中で艦、降りちゃったし……」

自分を責めるよう、カズイは言う。

「そんな俺が……ちゃんと、最後まで戦ったサイ達と……会うって……」
「でもみんな、カズイに会いたがってるよ? 艦を降りるのだって、カズイがちゃんと、考えて決めたことじゃない。それを――」
「――ミリアリア」

立ち上がる勢いでまくし立て始めたミリアリアを制したのは――半ば傍観者になりつつあったディアッカだった。

「その辺にしとけって」
「でも――」
「お前とこいつは、違う」

諭すような口調に、ミリアリアは言葉を失う。

「お前も……サイやキラのことも、きっとこいつは分かってるよ」
「え……?」
「ただ、最後まで戦わなかったことに、負い目感じてるだけだろ」

二人の目線が、カズイに向けられる。
彼は……呆然と、ディアッカを見ていた。

「決めて、しっかり考えて行動したことでも、後から後悔する事なんざ、いくらでもある。こいつは街中でお前を見つけて、声をかけようとして……そこで、思っちまったんじゃねーの? 何で最後まで、一緒に戦わなかったんだろうって」
「なんで……」

我知らず、カズイは呟く。

「なんで、分かるの……?」
「んー……ま、何となく」

先ほどまで、ディアッカからあんなに振りまかれていた威圧感は、どこにもない。
あるのは、上級の微笑み。

「この一週間、ずっと逃げ続けてたんだろ? そろそろ決着、つけたらどうだ?」
「……うん……うん。俺、皆に会うよ……良いかな、ミリィ……」

分かってもらえたのが嬉しかったのか、カズイの態度もまた、がらりと変わっていた。
期待の目を、彼はミリアリアに向け――

「え? うん……良いけど……」

了承する声は、上ずってしまう。
思わぬディアッカの対応とカズイの態度の変貌ぶりに、ミリアリアは呆気に取られていた。




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