こんな賭けモドキを持ち出すほど、「鬱陶しい」と言われたのがショックだとは……
ミリアリアの胸に、罪悪感が生まれる。


〈どうしよう……ディアッカ、傷ついてる……〉


悩みながら、ミリアリアはディアッカの背中に向かう。
大きな大きな、ディアッカの背中。
まるで――……


「……お父さんの背中みたい……」
「ミリアリアさん……頼むからこれ以上、俺をへこませないで」
「あ、ごめん」


本当に素直な感想で、深い意味など全く無かったのだが、ディアッカはこう捉えてしまったらしい。



――老け込んでる――と。



〈卑屈になっちゃって……〉


そうさせてるのは自分なのだが。

どうしたら、この男の機嫌を回復させられるだろう……と考えながら、ミリアリアは指を置いた。
大きな背中に、大きな文字を書く。


平仮名で、二文字。


「……――っえ?!」

その二文字に、ディアッカは振り向いてしまった。
顔を真っ赤にしたミリアリアが、彼の瞳を直視する。

「……分からな……かった?」
「いや、分かったけど……え?」
「……言わないの?」
「え? あ、う――……」

言える。いつも言ってる言葉。
けど、ソレを書かれるとは思ってなくて……ミリアリアの赤面が伝染するように、ディアッカの顔もまた、異常とも言えるほど赤くなって……
…………。

沈黙が過ぎて行く。

やがて、ミリアリアが恐る恐る、口を開いた。
信じられないように紡ぐは、確認の一言。

「ディアッカ、もしかして……照れてる?」
「……悪いか」

小さく言って、そっぽ向くディアッカ。


だって、まさか、そんな。
こんな時に、この言葉を書かれるとは思わなかったから。


ミリアリアが、「すき」と書くなんて――





-end-

結びに一言
不意を突かれ、固まってしまったディアッカさんの図(笑)

NLにアウルナバージョン有り。使い回しです(開き直るな)

*前次#
戻る0