箱は――無い。
入っているのは紙だった。
小さく小さく折りたたまれた、紙。


開いた先に書かれていたのは――……



「……ミリ、アリア……、さん??」



思わず、疑問形になる。
書かれていた言葉が、信じられなくて。

だって……普通、考えないだろう。誕生日に、愛しの恋人から送られてきたプレゼントが、開けても開けても箱が出てきて、最後に入っていた紙を広げたら、そこに書かれていたのが「はずれ」の三文字だなんて。


はずれ?
はずれって何だ??


混乱している内に、手元置いていた携帯が鳴り始めた。
着信は、ミリアリアから。
通話ボタンを押すなり、ディアッカは声を荒げた。

「おい、ミリアリア!」
〈やっほー。その様子だと、ちゃんと中身確認したみたいね。えらいえらい〉

悪びれないミリアリアの態度が、ディアッカの中に苛立ちを生む。

「ふざけんなよ! 俺が一体、どんんだけ楽しみにしてたと思って……!! 大体、はずれって何だよ、はずれって!!」
〈その通りの意味よ。そっちはハズレ。そんなに当たりが欲しかったら、玄関開けてみなさいよ〉
「玄関ン?!」

声を荒げ、ディアッカは玄関の戸を破り開け――



「ハッピーバースデー!!」



――しかめっ面のディアッカを、少女の声が迎えた。



それは、地球にいるはずの、ミリアリア。



「お誕生日おめでとう。こっちが当たりよ」

言ってミリアリアは、ディアッカに大きな包みを渡した。
そして、にっこり笑う。
満足気なミリアリアとは対照的に、プレゼントを押し渡された格好のディアッカは、イマイチ事態を飲み込めずにいた。




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