そして、当日がやって来た。
誕生日当日。喜ぶべき、ミリアリアからのバースデープレゼントの届く日である。

一応、気合は入れて送ってくれたのだ。
プレゼント選びよりも、送る方に気合を入れてるのがちょっと哀しいが、気合が入っていることに変わりはない。

朝、早起きして。
呼び鈴が鳴るたびに玄関へ出向き、目当ての物じゃなくて肩を落とす。何度そんなやり取りを繰り返しただろうか。


「えーと、オーブのハウさんから、ディアッカさん宛てに小包です」
「ミリアリアから?!」


午後も三時過ぎ、ようやくそれは到着した。
ミリアリアからの、誕生日プレゼント。

意外にも、片手に収まるほどの小さな包みでやって来たそれを、ディアッカは、手を震わせながら開封した。
一体ミリアリアは、自分に何を選んでくれたのか。

包装紙を取り、ごくりと咽を鳴らしながら、小さな箱の蓋を開け――





――目を疑った。

驚きのあまり、手が止まる。
目が見開かれる。
……言葉も出ない。







箱の中に――箱がある。







「……ミリアリア……別に、こんな、勿体つけなくても……」


嫌な予感は、する。
頭の中にサイレンが鳴り響いている。

それでも、一握りの希望を信じながら、彼は再び、蓋を取った。



現れたのは――やはり、箱。



…………えーと。
ディアッカは、色々考えてみた。

自分は……遊ばれているんだろうか。

中には、まだ箱がある。
小さな小さな箱が、まだある。
まだ、奇跡は起こるかもしれない。心を落ち着けたディアッカが蓋を取ると――つい先ほどまでとは違う景色が広がった。




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