その一時間後。


「……まさか、そんな理由で呼び出したのか?」
「そんな理由って無いだろ、そんなは」

オーブの某ファーストフード店に、ディアッカはいた。
彼の向かいに座るのは、アスラン。彼は全てを説明し終えたディアッカに、きつい眼差しを浴びせている。

「お前だって、姫さんにお返しはするんだろ? 何返すかくらい、教えてくれたって良いじゃねーか」
「返すって言われても……俺はカガリから借りた物などないし」
「は? 何言ってんだ? 明日はホワイトデー……」
「……そもそも、その『ホワイトデー』って何なんだ?」
「!!!!!!!!」

今――ディアッカは、聞いてはいけない言葉を耳に受けた気がして仕方なかった。


ホワイトデーッテナンデスカ? ――ですと??


アスランが堅物なのは良く知っている。しかしまさか、ここまで……世間の常識を外れるくらいの堅物君だとは、思いもよらなかった。

「アスラン……マジか?」
「……人をおちょくる様なら帰るぞ?」
「や、この場合、お前がおちょくってる確率のがすっげー高い」
「何だと?!」

おちょくってる――と言われ、アスランは憤慨した。彼にしては珍しく、人目を気にすることなく声を荒げ、

「何騒いでんですか、恥かしい」

次いで現れたシンに、一喝さえもらってしまう。

「シン?!」
「おお、シン坊。結構早かったな」
「……あなたに呼び出されて遅刻なんてしたら、あとが怖いですから」

シンは立ったまま、ディアッカへと言葉を返した。
一方アスランは、シンの登場を全く知らされてなかったおかげで、驚いたままだ。

「シンまで呼び出したのか」
「お前はあんま、当てになんないと思ったから」

いけしゃあしゃあと、ディアッカは言う。
つまりこの会合、ディアッカの中では、本命=シン、おまけ=アスラン、という図式の様だ。
アスランとしては、あまり面白くない。




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