ディアッカから見て右側の。
キラから見て左側の。
――テーブルの端に生まれている、女性の人影。

「聞かせてもらいましょうか、どんな関係なのか」

穏やかの声の中に、冷ややかなものを感じるのは何故だろう。
そこにいるのは――ラクス・クライン――

「あ、あれ? ラクス……今日はカガリと買い物で遅くなるって……」
「終わりました」

さくっとラクスは切り捨てる。

「キラ、教えてもらいましょうか。私とあなたの関係を」

口元に笑みをつくり、目元は全く笑わず、ラクスはじわりとキラに迫った。
彼女の威圧に押されるように、キラは背中をのけぞらせる。

「キラ」
「あ、あの、ラクス? 今の、そんな、深い意味は――」
「キラ」

ラクスは容赦なく、キラを追い詰めた。

「私が一体、どんな思いでチョコを渡したと思ってますの? 私の気持ちは、全く伝わりませんでしたの?」
「違う、そんなこと――」
「あのはぐらかし方は……ひどいです」
「ごめん、ラクス……」

ラクスの悲しみを読み取り、キラは静かに、頬に触れる。

「君を傷つけようとしたわけじゃないんだ。ただちょっと、ディアッカの口車に乗っちゃって……」
「分かってますわ。全てディアッカが悪いのですよね」
「いや、全部俺のせいって訳じゃないだろ」

一応文句を言ってみたものの、ディアッカの声は、キラにもラクスにも届いていない。
二人の世界が広がっていく。

「もう、何を言っても無駄ですね」
「……勝手にしてくれ……」

いつの間にか佇むマルキオ導師の意見に賛同する様に、ディアッカは頭を抱えるのだった。




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