「…………なんっつー夢……」

深夜遅く、悪夢で飛び起きる羽目になったディアッカは、無造作にパソコンを立ち上げた。
窓からは、柔らかな月明かりが降り注いでいる。

ここはプラント。ディアッカの家。


オーブ、ではない。


夢だ。オーブに行った夢を見た。
そして、ミリアリアに忘れられてる夢を見た。


「……すっげーヘコむな、これ……」


起動し、光を放ち始めるモニタを見ながら、机にうな垂れる。
精神的にもきついし、肉体的にも辛い。
……身体はまだ、眠いと言っているのだ。

しかし寝る気になれない。
このままベッドに戻ったら……夢の続きを見そうで怖い。

自分を忘れたミリアリアが、自分に向かって何を言う??
悪意の無い心で、どれほど痛いことを言ってくれるのか。
考えただけで、心臓が縮む。

「あいつ……寝てるよなー……」

少しでも眠気を晴らそうと、ディアッカはキーボードに指を置いた。
ゆっくり、遅く、文章を打つ。
返事がすぐ来ないことは分かっている。けど、彼はメールを打った。



――よぉ、元気に寝てるか? こっちは月がきれいだぞー。



と打って、送信して……送ったそばから後悔する。
自分は何をしているのだろう。こんな……朝起きて、メールを確かめた彼女が驚くだけじゃないか。

「……あー。でもこれで、朝イチでミリィからメール来んな」

夜中に馬鹿げたメールを出すな!! と怒られそうだが……まあ、うん。接触があるのは間違いない。
物事は、良い方に考えよう――

へらっと笑ってパソコンの電源を落とし、何か飲もうと立ち上がる。
メールを送って、一分と経たないほどの時間に。


――RRRRRRRRR――


けたたましく、電話の呼び出し音が鳴り響いた。

「――ッんだあ?! こんな夜中に!!」

一体どこの非常識人間だ――と続けようとして、


《それはこっちの台詞よ! 何考えてんの、ディアッカ!!》


綺麗な文句に邪魔される。
電話の主は、彼がメールを送った相手――ミリアリアで。


びっくりして、思わず受話器を落としそうになった。



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