秘密の二人


いつからこんな関係になったかは覚えていない。しかし、気付けば自分の知ってるディアッカ自慢をし、相手の知らないディアッカエピソードを披露し……今や勝負と化している。

どちらがディアッカを、知っているか――


「……何やってんだよ、お前ら」
『!!』


勝負の最中、突然、勝負の対象となっているディアッカに割り込まれ、二人は即座に写真をしまった。


相手が提示した写真を。


「何でもないわよ、別に」
「貴様に関係ないだろう」

二人とも、それまでの空気をおくびにも出さず、普段通りにディアッカと接する。

「あ、そろそろ戻らなくちゃ。じゃ、イザークさん、また今度」
「ああ」

同時に時計を見たミリアリアは――次の取材の時間でも迫っているのか、手早く身支度を始めた。
ジャケットを羽織い、バッグを持って、早々に食堂を出ようとし――

「おいっ、ミリィ!!」
「――何よ」

ディアッカに呼び止められ、ミリアリアは仕方なく、足を止める。
彼は、ちょっと寂しげに訊いた。

「お前……俺に会いに来たんじゃないの?」
「当たり前でしょ」

すぱっと言い放つミリアリアと、彼女の言葉を受け、とてつもなく情けない顔になったディアッカは、これが今日、ザフト本部に来て初めての会話――だったりする。
激しく落ち込むディアッカを他所に、ミリアリアはうきうきしながら本部を後にした。


〈士官学生のディアッカかー……〉


先ほど、イザークから掠め取った三年前のディアッカの寝顔に、自然と顔が緩んでしまう。


〈……かわい〜〉


密かに作成中の『ディアッカコレクション』が一枚増え、喜びのあまり、足取りも軽くなるミリアリアだが、


〈……次は、負けないんだから!〉


頭の中は、すでに次期・ディアッカ自慢大会で披露するネタを探し、フル回転していた。



……その頃ザフト本部では、イザークに、彼女と何を話していたのかと問い詰めてはみたのの、ミリアリアとの自慢勝負が引き分けに終わり、少々虫の居所の悪い友人から「貴様の女と話して何が悪い!!」と一喝を受け、シホに笑い飛ばされるディアッカ――という、これまた可哀想な光景が見られたという……


〈……次は、勝つ!!〉


心に誓うジュール隊長。
それは、ミリアリアと同じもの。


――二人だけの、秘密のライバル関係――





-end-

結びに一言
なんてゆーか……ディアさん、受けくさい……??


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