「……それはつまり、何か用意しないとまずい、ということか?」
「当たり前だ……って、まさかお前、ミリアリアに何も渡さないつもりだったのか?!」

官邸に帰ったカガリは、私室で待っていたアスランに全てを話した。
話して、アスランが何も渡す気が無かったと知って、彼女はまた怒ってしまったのである。


〈……完全に八つ当たりされたな、これは〉


ミリアリアの真意を汲み取り、アスランは大きなため息をついた。しかしヒートアップしているカガリは、その姿一つにも「やる気が無い!」とまくし立てる始末。これはもう、下手なことも言えない状況だ。
憤慨するカガリを横目に考える。自分から渡す贈り物……それは明日、何が何でも「出会わない」ようにすることなのではないか、と。きっと一番見たくない顔だろうとも思う。
だからこそ、アスランにとっては思わぬ展開だった。
予想だにしないことだからこそ、プレゼントなんて、何も考えていなかった。


〈と言っても何を渡したら…………〉


「聞いてるのか?! アスラン!!」
「聞いてる聞いてる。でもカガリ、俺は一体、何を渡せば良いと思う?」
「お前……人任せか?!」
「そう言われたら終わりだが……俺は『知り合いの女性』に贈り物をしたことがないんだ。だから、何を渡せば喜んでもらえるか……と思って」
「ああ、そういうことか……」

納得して、カガリは腕を組み……最終的に唸りだしてしまった。どうやら彼女も思いつかないらしい。


ミリアリアが、アスランから貰って喜ぶ物。


どうしようか――と考えながら、アスランは電話に手を伸ばした。
考えても考えても、彼女が欲しいものなんて浮かばない。なら別の誰かに「意見」を聞こうと。

彼は何人かに電話した。
その電話の主達は、すべて同じ「プレゼント」を提示した――……





*前次#
戻る0