「……えーと……?」

扉を開けたのは、キラだった。
救助に来たのである。そう、ディアッカの言っていた『スノーモービルに内蔵されてるGPS』を頼りに、姿の見えなくなった友人を探して。

そして彼は、開けたまま硬直してしまった。
キラの視界に入るのは、床でうずくまり、痛み耐えるディアッカと――


「――キラぁ!!」


瞳に涙を溜めながら、自分に向かって走ってくるミリアリア。

「どうしたの?! 大丈夫?! 怪我とか……」
「大丈夫……それは、大丈夫なんだけど……」

震えながらキラの背中に身を隠し、ミリアリアはディアッカに非難の眼差しを浴びせた。
キラもまた、再びディアッカを視界に入れる。
彼が扉を開けたとき、ミリアリアは起き上がったようにも見えた。おまけにこの反応。
思考はどんどん固まっていく。

「……ディアッカ。まさかミリアリアに変なこと……」
「し、してねえ、って!! こんな状態、で、出来っか!!」

相当痛いのか、ディアッカの言葉は流暢に放たれず……キラの表情は、どんどん険しくなっていく。
ミリアリアの一言も効いた。


「キラ……怖かった……」


怯える声。
しかし、キラから見えないことを良いことに、ミリアリアは『あっかんべー』っとしたり顔。

「ミリア……てっめ……!!」
「ディアッカ。詳しく聞かせてもらうよ」

動けないディアッカにキラは詰め寄った。
もう、どんな言い訳も通用しない。いや、どっちにしろ下心は満載なのだから、逃げようも無い。



「調子に乗るから、こーゆー目に合うのよ」



キラからキツイお説教を受けるディアッカを、ミリアリアはロッジの外から眺める。

何だかんだ言いながらも、ディアッカがいると安心する。
どれだけ怖い状況でも、彼がいると、何故だかそんなに、不安を感じない。

怖かったけど。
怖くなかった。



これが、ミリアリアの中に根付く、ディアッカの存在の大きさなのか。



「……それにしても……」

救助隊員に大きなジャケットを羽織らせてもらったミリアリアは、改めて辺りを見回した。
ロッジを取り囲むように、たくさんの救助隊。悪天候にもかかわらず、どうやって飛ばしているのか……上空からヘリの音まで聞こえる始末。
あまりの壮大さに、冷や汗すら流れてくる。

「……反省」

スノーモービルを借りた時、ちゃんと動作確認をしなかったこと。
早めに機械の異常に気づけなかったこと。


これからは色々気をつけよう――
自分の想像以上の大事に発展してしまった『遭難事件』で、ミリアリアはそう、心に誓った。





-end-

結びに一言
雪山で遭難して、大反省するミリアリアさんの図(どんな話だ)
タイトルは、ミリアリアさんの心の声で。
言葉にも態度にも(ほとんど)出さないけど、ずっと傍にいて欲しいと思ってるよ、と。
……フォロー無いと分からんなあ(爆)

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