ディアッカが傍に居て。
すごくすごく、傍に居て。
自分の髪を……結っていて。

不思議な感じがする。

「……ほら、出来たぞ」

声と共に、鏡が目の前に現れる。覗き込むと、そこには桜の花を揺らす自分が居た。
きらきら。
ひらひら。
花びらが輝いている。

「うん。こっちの方が断然良い」
「そ……そっかな……」

頭に桃色の花がひらひら舞って。
頬もまた桃色に染まる。

「やっぱお前、ピンク似合うんだな」
「……似合ってる?」
「全然負けてねーよ。桜の着物に」

桃色の簪を挿してもらったミリアリアは、大きな桜柄の着物を着ていた。
足を腫れさせる原因となった下駄も、薄桃色の逸品。全てカガリが、ミリアリアのために用意した。
こんなパーティーを開いても、「着て行く服が無い」と言って、彼女は断るだろう。だからカガリは、逃げ道を塞いだのだ。「もうお前の服も用意している!」と宣言して。
こうすれば、人の好意を無碍に出来ないミリアリアは、必ず来ると踏んだのである。
でも、着たまでは良かったが、鏡に映る自分はどうもしっくりこなくて。

「……本当に、似合ってる?」

カガリやラクスに「似合ってる」と言われても、安心なんて出来なかった。
違和感はどうしても付いて回る。
でも……
ディアッカが、似合ってるって言ってくれるなら……

ちらりと視線を上げると、ディアッカと目が合った。
彼は優しく笑うと、ミリアリアの両手をとる。

風が舞う。
はらはら。
きらきら。

暖かな風が、桜の雨を降らせる中、


「似合ってるよ、お姫様」


ディアッカは耳元で、ミリアリアの欲しい言葉を囁いた――





-end-

結びに一言
そして物陰から、二人を眺めるカガリ&ラクス――みたいな。
ちなみにディアッカさん、ミリィさんと合流後はかなりのんびりしてますが、これはミリィさんが結構平気そうだから安心した……とゆー感じでしょうか。
多分あの方、大慌てで駆けつけたと思われます(^^;

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