『……マジ?』
「こんなときに嘘言ってどうするのよ」
『それって、俺らと戦うことだってあるんだろ?』
「プラントが、本当に平和を望んでるなら、戦わないわ」
『って言ってもよー……』
「……あんた、私のやることに文句あるの?」
『あるに決まってんだろ? 戦艦に乗るんだぞ?! 戦場カメラマンなんか、比にならないくらい危ないじゃねーか!!』

真剣に怒る声。彼女を心配してるからこその声だ。
思えばカメラマンになって戦場を駆け巡る! と宣言した時も、こんな風に言い合いになった。あの時は時間をかけて説得したが、今回は――

「ああ、もうこんな時間! じゃ、そういうことで」
『はあ?!』

間の抜けたディアッカの声が響く。
彼に納得して欲しいのは山々だが、如何せん時間が……
そろそろ動き出さないと、キラとの待ち合わせの時間に遅れてしまうため、ミリアリアは慌てていた。

『そういうことって……おい!』
「うるさいわねー。もう決めたの! これ以上ぐだぐだ言うなら別れる!」
『……それ最強の脅し文句』

呆れたディアッカのため息が聞こえる。
そう、最強の脅しだ。
ディアッカと別れたくない。
向こうも別れる気なんて無い。


だから言える言葉。


『……一つお願い事が』
「何よ」
『死なないで下さい』
「それこっちの台詞」

ザフトに戻って……一般兵になって、今はまた宇宙で戦うディアッカ。
そういえば、こうやって話す時って、最後は必ずこの台詞で締めくくってるな、とミリアリアは今更気がついた。

「死ぬんじゃないわよ?」
『お互いにな』





戻る決意をした時とはうって変わり、透き通るほど青い波が空一面に広がっていた。
優しい光の下、一つの機影が目に入ってくる。
フリーダムだ。
優しく律儀な友達は、五分前には着く様に動いていたミリアリアよりも、遥かに早くたどり着いていた。

「ごめん、待たせちゃった?」
「大丈夫。今来たところだから」

笑いかけるミリアリアに、キラは切なげな表情を見せる。

「……本当に、良いの?」

念を押すのは、彼女を思ってのこと。
ディアッカのことがあるから――

「僕達は、ザフトも信用していない」
「でも、出来るなら信用したい」

言われ、ハッとするキラ。
彼女の言葉は、キラの本音。

「間違ってると思うこと、そのままにはしておけないよね」
「……うん」

そうやって、みんな道を選んできた。
キラもディアッカもミリアリアも、みんな。

戦争が沢山のものを奪っていく。それは笑顔だったり思い出だったり……命だったり。
だから戦う。守るために。


――それは、あの赤い夕暮れの下で決めたこと――




-end-


結びに一言
チャンドラ爆弾投下事件(笑)第2弾、相思相愛編。
これだとディアッカさん、ミリアリアさんがAA乗るの知ってますが……気にしない方向で。

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