寂しそうにうめくミリアリアとは反対に、ディアッカは――最初こそ驚いたが――すぐさま狡猾な笑を浮かべ、耳元で囁いた。

「それって一生モノでいいってこと?」
「ん……」

うなずきながら、ディアッカの言葉を頭で巡らせた。

……一生? ってことは、ずっと一緒にいるってことで……

「って、な――ぅあッ!!」
「あ」

言ってる意味を探しあて、顔を真っ赤にしながら反論――しようとしたら、電撃のような痺れた痛みが、全身に駆け巡った。

ディアッカの戯言への反論……そこまでは良かった。
問題は、それに動きをつけてしまったこと。

文句を言うだけにしとておけばよかった、と後悔する。
わざわざディアッカの目を見て「誤解するな」などと言おうとしなければ、もんどりうつ事もなかった。


思い出そう。ミリアリアは今マッサージを受けている。


うつ伏せになったミリアリアがディアッカと向き合おうとすれば、自然と背中は持ち上がり、軽いエビ反り状態になる。
背中にはディアッカの手……というか、親指。

しかも、つぼを押した瞬間となれば――

「……生きてるか?」
顔を枕にうずめたミリアリアから返事は無い。
かろうじて、頭が小さく横に振られている。

「ったく……ちょっとは考えて行動しろって」
「……あんたが、変なこと言うから」
すねた様に、ミリアリア。それがまたディアッカのつぼをくすぐる。

「別に、問題ないと思うけどね〜」
「こっちには問題大アリよ」

言いながらも、決して悪い気のしてない自分がいる。
いつの間にか自分の中で、ディアッカの存在が、こんなにも大きくなっているなんて。

むーっとしていると、再び耳元に気配が近づいた。
紡がれたのは、優しげな一言。

「ずっと一緒にいてやるよ」

どきん、と大きく心臓が高鳴った。
ディアッカの艶やかな声は、ミリアリアの心を揺さぶり、動かす。

「どーする?」
「……………………とりあえず、保留」
「おーらい」

いいや、と思ってしまった。
先のことがどうなるかなんて分からない。
なら、今ここで答えを出すこともないだろう、と。

戦争が終わった後も、ずっと――いつも一緒にいるのか――





-end-

結びの一言
元々はサイが出てくる予定でした(笑)

お題配布元→ディアミリストに30のお題

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