一方ディアッカは、いたずら好きの子供のような笑みをもらしながら、ミリアリアの後を追った。

「どこ行くんだ?」
「別に、どこだって良いでしょ」
「うーん……風呂か?」
「なんでそーなるのよ……」

げんなり、と肩を落とすミリアリアに追い撃ちをかける。

「だってタオルの山、抱えてるし」

あまりに予想通りの表情を見せられたおかげで、ディアッカは思わず、指を差さして笑ってしまった。
一通り笑い終えた後、状況が悪化していることに気がつく。

まずい。ミリアリアが無表情だ。

どうにかして自分の好感度を回復しなければ……そう考えたディアッカは、超初歩的作戦に出た。

「持つか?」
「なにを」
「何をって――この場合、そのタオルしかないと思うんだけど」

冷たいミリアリアの態度に、ディアッカは困惑する。

――そんなに怒らせてしまったのだろうか。

頭をかきむしり、必死に機嫌をとる方法を模索する。だが、ミリアリアに通用しそうなものは、葉露ほども出てきてくれない。
ご機嫌取りなど、昔は楽な仕事だと思っていたのに。

さて、どうしたものか……名案が浮かばず、考えながらミリアリアに付きまとっていると、

「……で?」

目を座らせ、彼女は振り向いた。

「持ってくれるんじゃなかったの?」

驚くべき一言と共に、タオルを差し出す彼女。
笑ってはいないが、さっきまで放たれていたトゲトゲしさはない。

「……喜んで運ばせていただきます」
「よろしい」
「で、どこへ運べば?」
「更衣室」
「……いい線行ってたじゃんか、俺……」
「なんか言った?」
「いえいえ」

満足そうなディアッカ。
何故だかミリアリアは、彼のこういう系統の顔を見ると、すこぶるムカツク性質を持っているため、思いつく限り最大級の皮肉を込めて言ってやった。

「こーの、脳内満年春男」
「それって誉め言葉?」

口を尖らせたが――春男には、かすり傷すらつけられない。

「けなしてるに決まってるでしょ」
「そうか……じゃ、頭ン中で誉め言葉に変換しとくわ」
「……あんた……本当に頭の中、春満開ね」

ミリアリアの声は――完全に呆れていた。
それでもディアッカは楽しんでいる。

春はぽかぽか。
全てをあたかかく感じる――春模様。




-end-

結びの一言
何が書きたいのか分かりません(涙)
ディアッカが汗かいてたのは永遠の謎で。

お題配布元→ディアミリストに30のお題

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