〜呪いの姫君と100人目の勇者〜


ある所に、笑顔の絶えないお姫様がおりました。
しかしある夜、姫の美しい笑顔に嫉妬した魔女が、お姫様に呪いをかけ、笑顔を奪ってしまったのです。

途方にくれた王様は、国中の勇者たちに呼びかけました。
無事呪いを解いた者には、どんな願いもかなえよう、と。

たくさんの勇者たちが、姫の呪いを解こうと、あの手この手で呪いと戦いました。しかし、99人の勇者が解呪を試みましたが、誰も呪いを解くことは出来ません。
姫の呪いは解けない……王様があきらめかけたときでした。


お城に、100人目の勇者が現れたのです。


勇者は姫に青く輝く宝石のついた指輪を捧げました。
それははるか遠い海に住む、魔法使いによって作られた、アクアマリンの指輪。
100人目の勇者は自らの危険も省みず、山を越え、谷を越え、姫のためにこの指輪をもらってきたのです。

指輪がはめられた時、宝石はまばゆい光を放ちました。
するとどうでしょう……姫の顔に、みるみる微笑みが戻ってくるではありませんか。

魔女の呪いが解かれたのです。

勇者は望みなど無いと言い、城を出ようとしました。
ですが王様は許しません。望みを叶えるまで帰さない、と。

ならば、と勇者は言います。


姫君と結婚させて欲しい――と。


勇者はずっと、姫君に憧れていたのです。
そしてお姫様も、自分を助けてくれた勇者に、心が惹かれていました。
差し出された勇者の手に、お姫様は迷わず自分の手を重ねます。

かくして、お姫様と勇者は、末永く幸せに暮らしたのでした。


おしまい。おしまい。


*前次#
戻る0

- 19 /66-