ディアッカはコーヒーを口に含むと、顔をしかめるミリアリアに視線を向けた。
真剣なそれに、ミリアリアの心が大きく跳ねる。

「……で、だ。決められた相手以外と結婚しようもんなら、周りは反対するに決まってる。もしお前がそういう状況になったとして……出来るか? 好きな奴と結婚なんて」
「…………」

ミリアリアは悩んだ。
自分ならどうだろう。もし両親に反対されたら、その思いを貫けるだろうか。

「……わたし……なら……」
「なら?」

悩んで悩んで――でも、浮かぶ答えは一つだけだった。
奇麗事かもしれないけど……

「……好きな人がいい。好きな人と、結婚したい」

たとえどれだけ反対されても、本当に心を許せる人に、側にいて欲しい。
それが、彼女の答え。

「……そっか」

ミリアリアの答えを聞いたディアッカは、途端に顔を明るくさせた。
何故かとても満足そうだ。

「簡単に言えば、お互いの気持ちしだいってことだな?」
「そうよ。……で? 参考になった?」
「とっても」

一気にコーヒーを飲み乾すと、ディアッカは立ち上がる。
向かう先は配膳口。
無人の厨房にカップを置くディアッカを眺めながら、ミリアリアは呻いた。

「どんな参考になるのよ……」

至極呆れながら。
それはとても小さな声だったが、コーディネーターの耳にはしっかりとらえられたようで。

ディアッカは、意を決して言った。

「……もう一つ問題があってさ」
「は?」
「いや、実はこっちの方が重要なんだけど……」
「はあ……」

今度は一体、どんな問題だろう。
話を待つミリアリアは、既に飽きているご様子。
そんな彼女に、ディアッカは背を向けたまま切り出した。

「お前、俺のこと好き?」
「……は?」

ミリアリアの間の抜けた声が響く。

分かってない。
彼女は、ディアッカの言いたいことが、まるで分かっていない。

そのまま格好良く決めたかったディアッカだったが、予想だにしないミリアリアの反応に、思わず振り返って怒鳴ってしまった。

「だから、俺のことどう思うかってき―てんだよ!
 好きなのか、嫌いなのか!」
「は?!」


――それはあまりにも、色気の無い告白だった。





-end-

結びの一言
顔を真っ赤にして好きか嫌いか聞くディアッカさんが書きたくて……(苦笑)

お題配布元→ディアミリストに30のお題

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