頭をニ、三度振り、サンタは頭に浮かぶ少女の姿を消し去ろうとします。 〈俺は『サンタ』なんだから〉 サンタは「幸せを届ける者」なのだから。 そう言いきかせても、ほら、少女の笑顔が浮かんできます。 金色の髪が。 自分を呼ぶ声が。 サンタレッドを「アスラン」に戻そうとします。 〈会えないのは、分かっていたことじゃないか〉 サンタはクリスマスにお仕事をします。これはとても重要で、とても忙しいお仕事です。サンタになれば、クリスマスに自由な時間を手にすることは出来ません。 分かって、アスランはサンタになる道を選びました。 拳を握り、唇を噛み、アスランは――……サンタレッドは地を蹴ります。 心の底に、少しだけ悔しさ。 傍にいけない歯がゆさ。 会いにいけない悲しさ。 〈カガリ――……〉 サンタは、心の中で呼びました。 愛しい人の名を呼びました。 |戻る0| -6/73- |