「では、改めまして。僕は『クリスマス戦隊サンタda5』の『サンタイエ口ー』という者です」
「何ソレ。戦隊? サンタがどこで何と戦うってのよ」

お屋敷の一角、座り込むフレイの前に正座した『サンタイエ口ー』は、警戒感を露にする彼女に態度を変えることなく、ニコニコと答えます。


「孤独と悲しみ、です」


飛び出したのは、表情とは全く異質の言葉。
そしてサンタの答えに、フレイの心がチクリと痛みました。


「この聖なる夜に悲しんでいる人、苦しみ、辛い想いに押し潰されそうな人……そんな方々に笑顔を与えるために、戦ってます。とは言え、ほとんどの業務は、善良な子供達が『サンタ事務局』宛てに投函してきた『今一番欲しいもの』を、クリスマスプレゼントで届けることなんですけど……」

照れ笑いするサンタイエ口ーの後半の言葉は、フレイの耳を通り抜けるだけでした。
最初の言葉。悲しんでいる人。それが、今の自分と重なったからです。
ふと、サンタは真剣な顔つきになりました。


「貴方は、何故そんなに暗い顔をしているんですか?」


少年サンタの大きな目が捉えた、お屋敷の中で一人寂しそうにしている女の子の姿。
同じくらいの歳の女の子の表情は、放っておけるものではなかったのです。

「もしかしたら、僕でも何か、力になれるかも……」
「なれるわけないわよ!!」

サンタの言葉を、少女は打ち消します。
涙を溜め、勢いに任せて立ち上がり、そしてサンタに怒鳴りつけます。



「あんたに何が出来るってのよ! 今ここに、パパを連れて来れるとでも言うわけ?! プラントに出張に行ってるパパを!!」



少女の瞳に宿る、悲しみの色が膨れ上がりました。


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