それが彼女の原動力でした。 ミーアは偽者です。ちゃんと分かっています。それでも『偽者』の場所にいるのは、彼女がこの場に『誇り』を持っているからでした。 「あんたの雇い主は、あんたをちゃんと見てくれてる。あんたなら任せられるって、自分の周りで一番重要な場所にあんたを配置した。これが何を意味するか分かる? 自分の身の安全を、あんたに託したってことよ? もう一度訊くわ。あんたに、その場所を守る『プライド』は無いの?」 「無い……わけ、ないだろ……っ!!」 拳を握り締め、ハイネは呻きます。 「ずっと、ずっと夢見てた場所なんだ……そこに、ようやく立てたってのに……俺は!!」 ようやく彼は、本当に不安だったものを、視界の片隅に見つけました。 彼は不安だったのです。いつも、その能力を高く評価されてきたハイネ。けれど本当に、自分はその評価に値する人間なのだろうか、と。 自分への不安が、『代役』という不安定な任への『不安』に繋がっていたのです。 「あんたは大丈夫」 ミーアは言います。 「あんたはきっと、大丈夫。いつか『代役』じゃなくて、ちゃんとした居場所に立てるわ」 だからもっと自信を持って、とハイネの手に両の手を重ねます。 「……お前は?」 「私?」 「お前は……ずっと『代役』のままなのか?」 ハイネが訊きます。 ミーアは一瞬、言葉に詰まりましたが……それでもちゃんと、答えました。 「私は、ラクス様の横で輝き続ける。それが、私の居場所よ」 「……そうか」 同じ『偽者』の場所に立ったからでしょうか……この言葉だけで、ハイネには通じました。 彼女が何のために生き、どういう人生を歩もうとしているのか。 「お前はそれで幸せか?」 「もちろん。当たり前でしょ?」 「なら……ちゃんと幸せでいろよ」 もう片方の手を、ハイネはミーアの両手に重ねました。 それは二つの『偽者』の立場に立った、たった二人だけの物語…… −end− 結びに一言サンタ第六弾、まさかのハイミア――もといミアハイ編(笑)。ちょっとだけディアさんを出しつつ……なんか、かなりミーア好きみたいです(^^; |戻る0| -27/73- |