「言い訳しないで。アンタの口から言わないで。それ以上言ったら、軽蔑する」

それは、サンタグリーンを守るための言葉です。
言ったら終わりなのです。
サンタも彼女の意志を汲み取り、それ以上の言及を避けました。
他にも訊きたい事があったサンタは、質問を変えました。


「……じゃ、一つだけ、教えてくれよ。何でそんなに、冷静でいられたんだ? 俺のこと、疑ったりしなかったのか?」


曲がりなりにも、恋人が嘘をついたのに。
しかもそれは、クリスマスの予定について、だったのに。
サンタに背を向けたまま、ミリアリアは言いました。

「そりゃ、お爺ちゃんの嘘が分かった瞬間は、すごく腹が立ったけど……それこそ、浮気、とか思ったけど……でもアンタが私を大事にしてくれてるってのは、すごく、分かったから」

クリスマスは一緒に過ごせなかったけど、その後のディアッカのフォローには、鬼気迫るものがありました。

「行事好きのアンタが、嘘ついてまでクリスマスキャンセルするの、なんか、事情があるんだって思ったから、だから……ちょっと悔しかったけど、それで納得してた」
「ミリアリア……」

サンタの手が、ミリアリアの両肩に置かれました。
サンタが額を、ミリアリアの頭に乗せました。
そのまま抱きしめたかったのですが、自分は今『サンタグリーン』なので、思い留まりました。
その代わり、耳元で囁きます。

「来年は、一緒に居られると良いなあ」
「サンタじゃ無理でしょ」
「でも、家族だったら何とかならねえ?」

サンタの問いかけに、ミリアリアの頬が赤く染まっていきます。
家族に、なったら?


「……ばか」


微笑みながら、ミリアリアはそう、呟くのでした。




−end−
結びに一言
サンタ第五弾、ディアミリ編。正義の味方は、正体を明かしてはならない――とゆー王道を貫いてみました。


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