鉢合わせたのは、一人の女性でした。 海の色の瞳を持った女性でした。 茶色の髪を、外にハネさせた女性でした。 ミリアリアです。 サンタの前に現れたのは、まさに彼の恋人、『ミリアリア』でした。 彼女もまた、サンタの姿に動きを止めました。身体を硬直させたのが分かります。 そして、目が合って――……彼女は身を翻しました。 逃げたのです。 ちゃんと『ディアッカ』だと分かったはずなのに、なんと彼女は逃げてしまったのです。 なんで? どーしてそこで逃げるんだ?? 頭が真っ白になりました。 理性が飛んでいきます。 気付くとサンタは、走っていました。 走って――ミリアリアに追いついて――彼女の腕を捕らえていました。 「待て、ミリアリア――」 「やめて! なんで追いかけてくるのよ! 駄目じゃない、あんた、サンタなんだから!!」 衝撃の言葉が、ミリアリアから飛び出しました。 「いつ、から……」 心に冷たいものを走らせながら、サンタが尋ねます。 「いつから、知って……?」 「知ったのは、今」 驚きの言葉を、彼女は言ってのけます。 腕を捕らえられても、彼に背を向け、決してサンタの姿を見ないように、彼女は続けます。 「今、アンタのその姿見て、全部分かったから……別にもう、良い」 「良いって……意味分かんねーんだけど」 「だから! ……下手な言い訳、しなくて良いって言う意味よ」 彼女も知っています。サンタが自分の正体を第三者に教えてはならないと、ちゃんと知っています。 だから逃げました。 彼に『サンタ』を辞めさせないために、逃げたのです。 |戻る0| -21/73- |