こうしてディアッカは、心にもやもやしたものを抱えながら、サンタグリーンになりました。
不安をいっぱい抱えながら、子供達に、オーブのみんなに、たくさんの笑顔を届けます。


<もしかして……俺のことなんて、どーでも良いとか思ってんのかな……>


追求されても困ることです。本当のことを言えない以上、どんどん嘘を重ねざるを得なくなります。




いっそ、明かしてしまおうか――
サンタを辞めてしまおうか――




そう考えたこともありました。実際、ミリアリアに嘘をつくのは、とても苦しいことなのです。
サンタでなければ、嘘をつく必要もありません。
クリスマスだって、一緒にいられます。

迷いを抱きながら、サンタは夜空を駆け巡ります。
時には道を歩きもします。その時は、人目に付かないよう、周りに気を配ります。何せサンタなので、人に見つかると大変です。あっという間に人の山に囲まれてしまいます。

その時、サンタの注意力は散漫になっていました。ゆえに、人気の無い住宅街で、避けなければならない事件がおこってしまいました。
人気のない十字路を曲がった瞬間、サンタ事務局とは全く関係のない『人』と鉢合わせてしまったのです。
まずい、と思い、サンタは身を翻そうとしました。けど、目の前に現れた人物に、動きが止まってしまいました。



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