「納得いかねえ!!」


ばんッと机を叩き、緑色のサンタの上着だけを羽織ったディアッカは、サンタ事務局の会計員に詰め寄りました。
着替えの途中です。しかし、唯一自分の愚痴を全て受け止めてくれる会計員を見つけ、着替えどころじゃなくなってしまったのです。

「ほら、少し落ち着け、ディアッカ……」
「これが落ち着いていられるか!!」

緑のサンタになるまでもう少しのディアッカは、もう発狂直前です。

「さっきも電話でフォロー入れようとしたのによ、あいつ、なんて言ったと思う?! 『こっちはこっちで楽しくやるから、そっちはそっちで楽しくやれ』だぜ?! どーなってるんだよ、あいつの思考回路!!」
「……信頼されてるってことじゃないのか??」

仕方なく、会計員がフォローを重ねます。けれど、ディアッカの心は癒されません。

「分かんねえ……彼氏はクリスマス駄目だって言って、しかもそれが大嘘って分かりきってるにもかかわらず、平然としてるミリアリアの心が分かんねえ……なあ、どーしてそんなにあっさりしてんだ? お前……」

ディアッカは、懐に忍ばせた恋人・ミリアリアの写真に問いかけます。
答えが返ってくるわけもありませんが。

「せめて、ここのことがミリィに言えたら良いんだけどな」

会計員が言います。そうなのです、言えたら良いのです。自分は[クリスマス戦隊サンタdaファイブ]の[サンタグリーン]で、クリスマスは仕事で一緒に過ごせないと、言えればこんな状態には陥っていないのです。
サンタ事務局には規約があります。その一つ、最重要部分に、こんな条項があります。



一.サンタ事務局員は、その旨を関係者・家族以外に知られてはいけない。



自分がサンタdaファイブと関係があると、第三者に教えるのはご法度なのです。

「ま、頑張れ」
「お前、相談に乗る気、無いだろ」

ディアッカが白い目を向けますが、会計員はそ知らぬ顔で、自分の業務に戻っていきました。



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