返事が全く来ないことで、彼女は「サンタホワイトとの主従」を諦めていました。 だけど、意にそぐわぬ相手との「契約」を前に、どうしても、一度会って、話がしてみたかったのです。 「……去年の、クリスマスに俺を見かけたのか?」 「はい」 「会ったわけではなく?」 「私は窓から、貴方が飛んでいく姿を見ただけです」 「……それだけで、俺に仕えたいと思ったのか?」 サンタも、日常は武術に関わる職に就いています。そのため、ハーネンフース家のしきたりにも詳しく、その主従関係の重みも分かっていました。 不思議がるサンタに、シホは断言します。 「運命だと思いました」 はっきりと、その目でサンタを射抜いて、言い切ります。 「私は、貴方を守る盾になりたかった」 凛としたシホの姿に、心がざわつきます。 苦しくなります。 運命なら、サンタも感じていました。 今も感じています。どうやっても、彼女から目を離すことが出来ません。 「……なら、俺の下で働けば良いだろう」 「…………え?」 突然飛び出した爆弾発言に、シホは目を丸くしてしまいました。 今、サンタは確かに言いました。自分の下で働け、と。 言った本人も驚いています。衝動的に出た言葉だったのかもしれません。 しかし、撤回する気もありません。サンタは一度咳払いをすると、改めて、シホに言いました。 「貴様一人くらい、俺が養ってやる。だから、俺のために働いてみろ」 言ってサンタは、手を差し伸べます。 「……良いんですか……?」 「俺の護衛は大変だが、それでも良いなら拾ってやる」 「はい!」 シホは――迷わずサンタの手を取りました。 それは最高のクリスマスプレゼントです。 なんせ、一年越しの願いが叶った瞬間なのですから…… >−end− 結びに一言サンタ第四弾、イザシホ編。シリアスにするのに苦労しました(そこか) |戻る0| -17/73- |