「私に……ですか?」 「うん。でもそれ、僕からじゃないからね」 「え?」 「これが、最後の配達なんだ」 ラクスは首を傾げながら、包みを開きました。そして、目を疑いました。箱の中には、たくさんの折鶴が入っていました。きっちり折られているものから、少し雑なものから……個性溢れる折鶴に埋もれるように、メッセージカードも添えられています。 ――早く良くなって、また歌を聴かせてね―― カードには、その旨のメッセージが書かれていました。 ラクスの瞳に、涙がたまります。 「午前中、マルキオ導師の所の子供達に、プレゼントを届けたんだ。そしたらみんな、君の体調が優れないって知ってたみたいでさ……届けてほしいって」 「あの子達……」 「ね、ラクス。君は、この子達に『幸せ』を届けてるよ」 折鶴が教えてくれます。 自分がどれほどの人に幸福を届けられているのか分かりませんが、少なくとも、この子供たちには、それが届いていると。 「僕も、君といると幸せだよ」 サンタが言います。 とても嬉しい言葉を、自分の目を見て言ってくれた、その時でした。 ボーン……ボーン……ボーン…… 柱時計が、低い音を響かせました。 短針と長針が、『12』で重なっています。 12時です。クリスマスが終わった瞬間です。 サンタの魔法が解け、青いサンタが『キラ』へと戻った瞬間でもあります。 そして、ラクスの中で、心の迷いが消え去った瞬間でもありました。 「おかえりなさい、キラ」 「ただいま、ラクス」 暗闇の中、ラクスは心からの笑顔を、キラに届けたのでした。 −end− 結びに一言サンタ第三弾、キララク編。 たまには悩みの迷路に迷い込むラクスも良いかな、なんて思いつつ…… |戻る0| -12/73- |