サンタの業務は過酷です。 疲れていないだろうか。 不慮の事故にあったりしていないだろうか。 何か、突発的トラブルが起きたりしていないだろうか。 心配すると、キリがありません。 そんな不安を抱きながら、ラクスは椅子に腰をかけました。立食会をキャンセルするほどの体調不良です。数分立っている事すら、今のラクスには非常に困難なことなのです。 けれど、強い思いもありました。 こんな状況でも、事務所で待っている理由が、ラクスにはあります。 ――出迎えたいのです。 疲れて帰って来たサンタdaファイブの面々に、「おかえりなさい」と…… 冷えた身体を温めてもらおうと、部屋を暖房で温めて。 温かい飲み物の、すぐ用意できるように準備しています。 なのに、まぶたが重くなります。 ラクスの意志とは関係なく、ゆっくりゆっくり、視界が狭くなっていきます。 〈だめ……寝ては……〉 懸命に起きていようと努力しますが、やがて、彼女の瞳は閉じられてしまいました。 意識が揺らぎます。 今にも消えかけそうです。 もう、寝てしまう――そう思ったとき、遠くで「カツン」と物音が響きました。 靴の音です。続いて扉の開く音が聞こえます。 人の気配が生まれました。誰かが、事務室に入ってきました。 一体誰でしょう。ラクスは、静かに目を開きました。 「……あ、ごめん。起こしちゃった……?」 いたのは、申し訳なさそうなサンタブルーでした。 |戻る0| -10/73- |