緩やかな時間の流れが生む優しさの空間。 青いサンタが星の海を飛んでいます。背負う白い袋は萎んでいて、ほとんど中身が入っていない状態です。 聖なる夜の仕事をほぼ終わらせ、青いサンタは晴れ晴れとした顔で飛んでいました。 残るプレゼントは、唯一つだけ。これが最後の『配達』です。 途中、彼は大きな時計の前を横切りました。 12時までのカウントダウンが始まっています。 「急がなくちゃ」 青いサンタは、笑顔で言います。 12時まであと少し。 クリスマスが終わる前に、プレゼントを届けなくてはなりません。 サンタの魔法が解ける前に、彼女の元へ――…… 【青いサンタと幸呼の歌姫】 ―キラ×ラクス― クリスマスの夜、サンタ事務局は、その事務室を除いて暗闇に包まれていました。 子供達に、そしてオーブに住まう全ての人に幸せを振りまくための事務所・サンタ事務局。今日はクリスマス本番のため、サンタdaファイブの面々はプレゼント配達へ出払っています。 事務員もいません。オーブ官邸で行われる立食会に招待されたからです。 そんな事務局に、一人だけ残った人物がいました。ラクスです。本来は彼女も立食会に行かなければならなかったのですが、連日のリサイタルで体調を崩してしまい、会には彼女の影武者を勤めるミーアが「ラクス・クライン」の名で出席しています。 「もうすぐ、今年の業務も終了ですわね……」 ストールを羽織り、窓辺に立ち、彼女は街をかけるサンタdaファイブに思いを馳せます。 |戻る0| -9/73- |