同じ気持ちだったと喜び、そして彼は空を見上げます。
夜。紺色の星空。サンタはまだまだ、これからが正念場です。


「じゃ、カガリ。そろそろ――」
《まて、アスラン。言うの忘れてたんだが、ポケットの中、分かってるか?!》
「――ポケット?」

電話を耳に当てながら、アスランはポケットを探りました。ずっと、少し重みを感じていたポケットの中に、小さな包みを発見します。
包みを開けると、飴玉がたくさん入っていました。

「これ……」
《ほんとはお前に直に渡そうと思ったんだけど、暇無くて、ラクスに頼んだんだ。そしたら『ポケットに入れておきました』って言われてしまって……》

申し訳なさそうに、カガリは続けます。

《ずっと飛び回って、疲れるだろ? 食事とかする暇とれないだろうから、せめて咽が渇いたらすぐ潤せるようにって思って……》
「……じゃ、これがカガリの、俺へのクリスマスプレゼントってわけ?」
《それは差し入れ! プレゼントはちゃんと、ここに用意してある!》

カガリが宣言します。
電話越しのため見えませんが、きっとあるのでしょう。
彼女の手元に、アスランへのクリスマスプレゼントが。

「これ終わったら、もらいに行くよ」
《分かった。待っててやるから、ちゃんと来いよ?》
「もちろん」
《じゃ、気をつけてな》

にこりと笑って、カガリは電話を切ろうとしました。
その直前に、耳が、声を拾いました。



「メリークリスマス」



慌てて受話器を耳につけましたが、すでに電話は切られていました。
サンタの小さな囁きです。
彼は、サンタに戻ったのです。



「メリークリスマス……アスラン」



カガリもまた、囁きました。
愛しく、電話を抱きしめて……




−end−
結びに一言
サンタ第ニ弾、アスカガ編。電話越しに、会いたいけど会えない二人…
TOP掲載時とタイトル変わってます。[暁]をつけたくて……
旧タイトルは[金獅子の姫君]でした。


*前次#
戻る0
-8/73-