ディアッカ&シホによる連載のダメ出し


事件が終わって三日、ようやく自由に動き回れるようになったディアッカは、シホの病室まで見舞いに訪れていた。

「しっかし……行き当たりばったりも良い所だよな、あの連載」
「ホント。ふざけるのも大概にしろって話よね」

二人が語るは……終わったばかりの連載について(笑)

「大体、プロローグも無いのに最後のタイトルが『エピローグ』って……」
「普通に『最終話』で良いよな」

身も蓋も無い事を言うディアッカ。
一方シホは、拳を震わせながら叫んだ。

「話の流れ自体、第三話終了時点で、ようやくこの路線で行くって決めたんでしょ? 遅すぎじゃない!!」
「違う違う、四話から」
「でも三話のラストで、ミリィは『違和感』感じてるわよ?」
「あれも深い意味無し。実際誘拐物に確定したのは、四話で暴走ワゴンが登場してから」
「何それ!!」
「ちったープラン立ててから始動しろってなー」
「……ちょっとも無かったの?」
「いや……俺とミリィを、とにっっっかくすれ違わせようとは思ってたらしいぜ。で、最後はマルキオ邸で七夕祭かなー? くらいには」
「は?! ラスト、三日経ってるわよ?! 7月10日、お昼過ぎじゃない!!」
「なんだよなー。マルキオ邸に持ってくつもりだったから、冒頭からキラの名前出してたのによ」
「……じゃ、『ハロ育成計画』は?? あれが一話で出てきた意味は?!」

今回、誘拐された二人の居場所を特定するのに、大いに活躍したハロ型発信機。その意図は――

「その場限りの小ネタ」
「今から七国殴りに行っても良いかしら」
「止めやしねーけど、イザークが見舞いに来る前に帰ってこれる保障はどこにもないぞ」
「くっ……」

悔しそうに、シホは爪を噛む。

「ま、誘拐物になったおかげで、色々美味しい展開もあったし」
「私的にはどこも面白くないわ」

これまたシホは、血管を浮き立たせた。

「……確かに、大活躍してる所でならともかく、全く見えない所でこの怪我はな」
「そっちじゃない!!」

シホが叫ぶ。
その魂の咆哮に、ディアッカは……頬に一筋の冷たい雫を伝えた。
彼女が問題視している所とは、

「何で後半、イザカガちっくになってるのよ!! これは『アスカガ・イザシホ要素有り』のディアミリ連載じゃなかったの?!」
「イザシホじゃなくて、イザ←シホな」
「納得いかないわ!!」

シホ、ディアッカの指摘を軽くスルー。

「カガリ・ユラ・アスハ……隊長に抱きとめられるなんて……なんて羨ましいっ!! 隊長の初めての人は、私になる予定だったのにーっ」
「それ、ものすごーく誤解を招く発言だぞ」

だが、シホは気にしない。

「地味に格納庫でも抱きしめられてるのよ?! あの国家元首!! いやあああ! 私の隊長が穢れていくうううう!!」
「穢してんのはお前だろ」
「ああ、間近で隊長の戦いを見たかった……」
「はいはい」

ディアッカは天を仰ぐ。
どうしてシホと話していると、時々会話がかみ合わなくなるのか。
考えても仕方ないことなのだが。

「ところで、最後にMS出てきたじゃない? 小耳に挟んだ話によると、七国の奴、最後はMS戦でしめようか――とか考えたことあったらしいわよ」
「ああ、そりゃ俺も聞いた。本当は空中でMS戦の予定だったんだが、いざ書こうとしたら戦わせ方が分からなくて、結局、出てきただけで終わり」
「そして隊長の見せ場が一つ減らされたのね」
「良いんじゃねーか? 見せ場は一応あったんだし」
「一応で許せと?!」
「全く出番無くなるよりマシじゃんか。例えばー……マルキオ老師とか、……どこぞの歌姫とか」
「……そういえばあの人、全く出て来なかったわね」
「祭で終了、って方向でも、ラストでちらっと姿が見えるだけだったのに……完全に切られたぞ、存在」
「七国、祟られるんじゃないの?」
「『歌姫の呪い』……強力そうだな」

うなだれるディアッカ。
そして思う。

「……ディアミリ連載なんだから、最後くらい、もっといちゃつかせろよ……」

その嘆きにシホは――

「いい気味」

満足そうな笑みを浮かべるのだった。





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