それではまず、加筆修正のお話。 本作は、2012年3月より加筆修正版にて展示しております。 修正された結果の加筆・変更点がこちら。 ・序章ともいえる[〜発端〜]の追加。 ・オリジナルキャラ追加。名前付きも増員。 ・「ダニア・ウーム」の職業変更[事務官→秘書] ・誘拐事件発生時の描写を加筆。 ・ディアッカ、アスラン、イザークの議事堂内での行動。 ・内部犯説を語るに当たって、具体的人物を挙げる。 ・マズル事件を「13年前」から「8年前」に変更。 ・マズル事件について加筆。 ・シホ救出描写の追加。 ・エピローグ→〜結末〜に変更。 ・〜結末〜に1エピソード追加。 簡単に書き出して、これくらいでしょうか。 細かく書けばもっと出てきます。例えば序盤でカガリがミリアリアの取材を受けた時、もう時間が無い、と秘書が室内にやってくる描写は加筆で出来た産物です。 加筆前は、事件の中核にあるべき「ケイマ・センテグロ」が、唐突に現れていて――まあそれは加筆後も変わりませんが――犯人は誰だろう? とどこかで推測してもらわないといけないのに、推測できる情報をほとんど提示していない。作中ですら、大きく動いている中で知らされているのがイザークだけ、という状態はまずくないだろうかと、小説を旧サーバから現場所に移している最中に気がつきまして(遅すぎる) 昔、書いた当初はきっと……そこまで感じなかったのでしょうね……なんせ書いた本人だから、文章で表現されていなくても話が繋がってしまう。改めて目を通して、冷や汗が流れましたよ。 で、加筆したのです。 修正したのです。 最初は一部分。 その内周りにも派生。 〜発端〜を書いてしまった辺りで、大幅加筆を覚悟しました。そりゃあもう、これ、最初から書き直した方が早かったんじゃないかと思うくらいです。 修正前からいるキャラで日の目を見たのは、完全に「ダニア・ウーム」ですね。彼だけは、修正で得をしたと思います。 存在が提示されながら、扱いがぞんざいでしたから。 それから、シホ。修正前は、それこそディアッカですら心配するほどの大怪我をしているのに、ディアッカ自身が外部に連絡をとる術を失った、という理由で、事件解決まで放ったらかしにされてるんじゃないかと感じられる状態です。 これは本当にまずいだろう、と。 あんな状態なのに平然としすぎだよディアさん、みたいな。 安心させてみました。そのためのイナミさんです。 彼がどうしてあの場近くにいたかを書き逃しています。まあ、書かなくても問題は無かったので、「……ま、いいや」と←こんなノリで申し訳ない。 イナミは秘書室で、ダニア・ウームの所持品を調べていました。代表のスケジュール管理が秘書の仕事なので、秘書室と首長室は隣接しています。そうしたら隣から争う声が聞こえ、銃声が聞こえ、警戒しながら踏み込んだ――という流れです。 この辺を書くと、また「〜発端〜」や「〜結末〜」の新規ページみたいに、丸々一エピソード追加しなくてはならなくなります。数行で済みそうに見えますが、七国を甘く見ちゃいけない。きっとこれで1ページ増えます。でも話の作りが「ミリアリア側」と「ディアッカ側」の追いかけっこ状態で展開しているので、これも「〜結末〜」に後日談で入れることになる。 そんな葛藤の結果が「……ま、いいや」に収束しました。 時に、がっつりエピソードを切る勇気も必要なのです(と言い聞かせてみる) |