歯がゆく――ディアッカはミリアリアに目を移す。
こちらを呆然と見ていた少女は……落下物を避けながら、ブラックフレームへと走っていた。
的確な判断だ。この状況なら、格納庫の外に出るより、コックピットに避難していた方が安全である。
――が。

「!!」

良すぎる彼の目は、その瞬間をとらえていた。
ミリアリアが、バランスを崩す瞬間を。


受け止めなければ――
でも、ここからじゃ間に合わない……いや。
そんな事――関係ない。


無意識に、ディアッカは走り出していた。
自分の身の危険も考えず。


一秒でも速く、彼女の元へ――


「――リアリア!!」

カガリの悲鳴が聞こえる。
転んだミリアリアは、立ち上がろうとしたものの、直後、目の前に落ちてきた天井パネルのおかげで、完全に動けなくなってしまった。
おびえ、震えるミリアリアを目に、ディアッカは叫んだ。

「ミリィ!!」
「?!」

同時に、彼女が振り向く。
どうして? という瞳と共に。
粉塵が舞う中、あらん限りの力でミリアリアに飛びついたディアッカは、そのまま通路下に転がり込む。
少しでも、安全な場所で。

「ディアッ……カ?」

ミリアリアの声が、耳元で響いた。




NEXT>>>[〜結末〜]


*前次#
戻る0

- 56 /67-