歯がゆく――ディアッカはミリアリアに目を移す。 こちらを呆然と見ていた少女は……落下物を避けながら、ブラックフレームへと走っていた。 的確な判断だ。この状況なら、格納庫の外に出るより、コックピットに避難していた方が安全である。 ――が。 「!!」 良すぎる彼の目は、その瞬間をとらえていた。 ミリアリアが、バランスを崩す瞬間を。 受け止めなければ―― でも、ここからじゃ間に合わない……いや。 そんな事――関係ない。 無意識に、ディアッカは走り出していた。 自分の身の危険も考えず。 一秒でも速く、彼女の元へ―― 「――リアリア!!」 カガリの悲鳴が聞こえる。 転んだミリアリアは、立ち上がろうとしたものの、直後、目の前に落ちてきた天井パネルのおかげで、完全に動けなくなってしまった。 おびえ、震えるミリアリアを目に、ディアッカは叫んだ。 「ミリィ!!」 「?!」 同時に、彼女が振り向く。 どうして? という瞳と共に。 粉塵が舞う中、あらん限りの力でミリアリアに飛びついたディアッカは、そのまま通路下に転がり込む。 少しでも、安全な場所で。 「ディアッ……カ?」 ミリアリアの声が、耳元で響いた。 NEXT>>>[〜結末〜] |