静かになった部屋。ディアッカが男たちを縛り上げる中、アスランは監視モニタと格闘していた。
キーを叩きながら、カガリ達の現在位置を絞り込む。
この部屋は、いわゆる『情報センター』としての機能を持つらしく、屋敷中の監視カメラの映像やら、屋敷の見取り図など、今のディアッカ達にとっては喉から手の出るほど欲しい情報の宝庫だった。

「シェルターか……」

シェルターの監視カメラから映像が流れてこないのが不安材料ではあるが、その前に二人が走っていた場所と、屋敷の展開図を組み合わせて考えると、カガリ達が向かったのがシェルターであることに変わりはない。

「どうだ?」

ディアッカもモニタを覗き込む。

「向かうはシェルターだな。一番の近道は……ああ、なんだ」

アスランは拍子抜けしたように、部屋の奥まった場所へを指差した。

「あそこの扉から、格納庫に出られるみたいだ。シェルターへは、そこを突っ切るのが一番速い」
「なるほど――」

――と、動き出そうとして、ディアッカが止まる。
それは、案内を出したアスランも同じだった。


……格納庫?


屋敷に――格納庫??
嫌な予感がしたアスランは、格納庫情報を引っ張り出した。
メインモニタに映るその存在に、二人は言葉を失う。
それはどう見ても――MS。モビルスーツそのものだ。

「……マジかよ……」

ディアッカは呻いた。

「何で、こんなものが……」

アスランも、信じられない面持ちで、キーパッドを叩く。
画面に映る黒いMS群。そこには『M1アストレイ・ブラックフレーム』と記す解説文が流れていた。
ディアッカはもちろん、アスランすら知らない機体……しかも、量産されている。

「……そんな……」

続いて現れた情報に、アスランは更に顔をしかめた。

「連合に……機密が流れてる……?」
「……んだとお?」

さすがにディアッかも、変な声を上げてしまった。
MS製造に関する内部資料、その他……『軍事機密』に属するデータが、そこには残されていた。
発信済みであることは、ディアッカの目からも確認できる。

「そのための『試作機』かよ」
「……それよりも、ここにある機体が全て、連合に渡すために作られた物なんじゃないか?」

データなら、先ほど見つけた内部資料だけで事足りる。
なら、機体を作った理由は?
ケイマが連合と通じているのなら……

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