一瞬頭に浮かんだのが、待ち合わせ場所を間違える、という初歩的ミス。けれど約束の場所は「オーブ森林公園の入り口」であり、何度確認しても、ここが正解。ディアッカが待ち合わせ場所を間違えている可能性もあるが、それなら、それこそ連絡してくkるだろう。「お前今どこにいるんだ?」とか。

電話を、かけてみよう。
向こうがかけてこないなら、こちらからかけてやれば良い。何も、向こうから来るのを律儀に待っててやる義理は無いのだ。

携帯を開き、コールする。
閉じたのは、一分後。
ただ呼び出し音が鳴るだけで、留守電にも繋がらない。

不安がよぎる。
ディアッカは、要人の護衛でオーブに来ている。
彼の強さはよく知っている。しかし……万が一、ということもある。
冷たい風が吹きつけ、ミリアリアは身を震わせた。彼女の心情とは裏腹に、空には満天の星があふれ、周りには、仲の良さそうな恋人達の姿が見えはじめる。
幸せそうな笑顔。
だがミリアリアの顔に――笑みは無い。

駄目もとで、彼女はもう一度電話をかけてみた。
今までは、電話に気づかなかっただけかもしれない。
例えば車に乗ったは良いものの、渋滞にハマって動けなくなっているのかもしれない。
悪いことは考えないように、くだらない理由だけ考えて。
しかし――というか、やはり応答は無い。


まさか本当に、何かあったんじゃ……


ミリアリアの心が、本格的に不安に絡みつかれはじめた時だった。
ぷつ、と不意に呼び出し音が切れる。

《……誰だ?》

受話器の向こうから、聞き覚えのある青年の声が響いた。



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[〜理由〜]


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