いた。
ディアッカがいた。
ずっと待ってた人が、いた。
あんなにも腹を立てていたのに……実際、ディアッカを目にしたら、喜びしか出てこない。

「ミリアリア!!」

彼の声が、ミリアリアに届いた。
ずっと待っていた……待ち焦がれたヒトの声。

「ディアッ――」

彼女の声は――届けきれなかった。
動き出したMSが、天井や、他MSに続く足場的通路を破壊するおかげで、鉄筋が何本も落ちてくる。

「きゃああっ!」
「ミリアリア!!」

カガリがミリアリアを引き寄せ、イザークが二人を安全な所へ移動させようと、避難場所を探す。
そこにキラの声が響いた。

「みんな、こっち!!」

キラは、MSへと走っていた。
確かにこの状況なら、MS内が一番安全である。
走り出す四人。だが、起動中のM1アストレイの動き一つ一つで建物は揺れ、上手く走ることが出来ない。

「あ!!」

ついには足がもつれ、ミリアリアが転んでしまった。

「ミリアリア!!」
「ちっ!」

轟く悲鳴。
イザークは彼女の元に戻ろうとするが、その瞬間、二人の間に天井パネルが落下する。

「くそっ!!」

イザークは知っている。彼女がディアッカにとって、どれほど大切な人間なのかを。
こんな所で、傷つけさせるわけにはいかない……カガリ同様、大切な人間であると。

粉塵が降る中、イザークは祈るような思いで、視界が晴れるのを待った。
最悪、打撲程度なら許すから、パネルの下敷き、とか鉄筋を頭に受ける、とか……未来の無い事態だけは避けてくれ――と。
そんな彼の淡く青い瞳に映ったのは――


――金色の髪の友人に抱きしめられる、ミリアリアの姿だった。



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[〜抱擁〜]


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