「イザーク、うるさ――あ?」

屋敷の中を先行するディアッカは、響くイザークの雄叫びに文句を言い――足を止めた。
いるべきはずの人間が、二人ほどいない。
イザークとキラが。

「キラ……一体どこではぐれたんだ?」

アスランも驚き、辺りを見回す。しかし、彼らが見つかるはずも無い。この二人には、『勝手に扉を蹴破って、勝手に中に侵入した』という自覚は皆無である。呼びに戻る、なんて選択肢も端っから無い。
いない人間を当てにしてもしょうがなく、ディアッカは、力強く前方に目をやった。

「あいつらなら大丈夫だろ。それよりも今は、ミリアリア達を!」
「……だが、一体どこに閉じ込められてるのか」

そこら辺にザコキャラでもいてくれれば、ひっ捕まえて軽くボコって、二人の囚われている場所まで案内させるのだが、二人の周りには、人の気配すらなかった。
いきなり親玉――という手もあるが、少なくとも二人の居場所を特定してからでないと、かなり危険な賭けとなる。
地道に探すのが一番のようだ。

「順当に考えれば、上か下、だよな……」

ふと目を走らせると、都合よく捉えたのは、下に伸びる階段。

「近い場所から当たってくか」
「ああ」

ここは一階。なら下に続くは地下への階段。建物の造りから見て、拘禁室がある可能性は十分に高い。となれば、地下は人質を閉じ込めるのに、うってつけの場所となる。
二人は息を潜め、物音をたてず、地下への階段を進んだ。
間もなくディアッカの読み通り、拘禁室と思わしき地下牢への扉へと辿り着く。
入り口付近に、人の気配は――無い。

〈……頼むから、無事でいてくれよ……!〉

願いを込め、ディアッカは勢い良く扉を開いた。
そこはとても狭い地下牢。
たった一つしかない牢の扉は開かれ――


――中に、捜し求める少女達の姿は無かった。



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[〜真相〜]


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