思いもよらぬ言葉に、二人は声を重ねる。 その姿を見て――ようやくアスランは、とても重要な情報が欠落していることに気がついた。 カガリのことで頭がいっぱいで、伝えなければならない人物に、伝えるべき事実を与え忘れていたことを。 「まさか、貴様」 イザークが呻く。 アスランは、はっきりと言った。 ごくりと喉を鳴らしてから。 「カガリと一緒に、彼女も……ミリアリア・ハウもさらわれた」 聞き間違い――? いや、違う。 はっきり『ミリアリア』と言った。 脳がそれを認識して。 どれだけの時間だっただろう。 どれだけの力だっただろう。 気がつくと、ディアッカの手はアスランの胸倉を掴み、彼を壁に叩きつけていた。 「――なんでっ……!」 必死な瞳。それは……まるでさっきまでのアスランのよう。 「何であいつがっ……!」 「…………」 アスランは何も言わず、顔を背ける。 全てが言い訳になるから。 カガリが、ミリアリアと二人で話すから来るな、と制したおかげで遠くから護衛する羽目になり、みすみす誘拐させてしまった……なんて。 言い訳以外の何だと言うのか。 その状況下でも、しっかり守ってのボディーガードなのに。 黙ってディアッカの怒りを受けるアスラン。 そんな時、彼女は戻ってきた。 「隊長!!」 シホは二人に目もくれず、真剣なまなざしでイザークの元へ行く。 静かに渡すのは――ディアッカの携帯。 「犯人が――接触してきました」 瞬間、対策本部は凍りついた。 [〜憤怒〜] |